2019 Fiscal Year Research-status Report
癌転移における好中球細胞外トラップ(NETs)の機能解析
Project/Area Number |
18K16302
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岡崎 充善 金沢大学, 附属病院, 医員 (50781126)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 癌転移 / 好中球細胞外トラップ / 血小板凝集 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道癌術後や大腸癌肝転移術後において、感染性合併症が予後不良因子の一つであるとする報告がある。過大な手術侵襲や術後感染症などにより免疫能が低下す ることで、転移巣が急性増悪することが原因とされる。腹膜炎・手術侵襲下では、体内で好中球細胞外トラップ(Neutrophil extracelluar traps: NETs)と呼 ばれる生体防御機構が惹起される。申請者らは敗血症性臓器障害の過程で初期にNETs形成と血小板凝集との相互作用により過度なNETosisが惹起され、NETosisに 起因したDAMPsが血管内皮細胞の剥離・脱落を来し、生体に種々の障害を生じさせることを報告してきたが、この機構ががん細胞の転移にも重要な役割を果たし ていると考えられる。また癌転移形成における血小板の重要な役割として、circulating tumor cellを血小板が取り囲み、血小板の細胞表面に存在するMHC class Iが癌細胞に移り、NK 細胞などの免疫担当細胞から自己と認識されることで、免疫回避につながるという報告がある。我々は血管内に入る前の原発巣において既に癌細胞が血小板に取り囲まれていることを報告してきたが、今回敗血症マウスモデルを作成し、NETsによってtrapされた癌細胞周囲に血小板が接着し、viableな状態の維持に影響を及ぼしていることを確認した。さらに抗血小板作用を有するPDE3阻害剤(cilostazol)によるNET形成の制御により 癌転移が抑制できるかどうかを検証することを予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究により敗血症マウスモデルを作成し、NETsによってtrapされた癌細胞周囲に血小板が接着し、viableな状態の維持に影響を及ぼしていることを確認し、現在論文投稿中である。当初の予定では、抗血小板作用を有するPDE3阻害剤(cilostazol)によるNET形成の制御により癌転移が抑制できるかどうかを検証することを計画しており、現在実験を施行しており、結果をまとめ報告する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、敗血症マウスモデルに各種膵癌細胞株を脾注し、転移における過程として、癌細胞周囲のNETs形成及び血小板凝集を同定し、癌細胞のトラップを証明した。これまでの実験過程において、敗血症マウスモデルの作成に難渋したが、薬剤調整・投与方法が確立し安定的にモデルマウス作成が可能となった。さらに抗血小板作用を有するPDE3阻害剤(cilostazol)によるNET形成の制御により癌転移が抑制できるかどうかを検証することを計画しており、現在実験を施行しており、結果をまとめ報告する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初の予定通り、敗血症マウスモデルに各種膵癌細胞株を脾注し、転移における過程として、癌細胞周囲のNETs形成及び血小板凝集を同定し、癌細胞のトラップを証明した。これまでの実験過程において、敗血症マウスモデルの作成に難渋したが、薬剤調整・投与方法が確立し安定的にモデルマウス作成が可能となった。さらに抗血小板作用を有するPDE3阻害剤(cilostazol)によるNET形成の制御により癌転移が抑制できるかどうかを検証することを計画しており、現在実験を施行している。またこれまでの実験結果をまとめ、国内・国際学会での発表と英語論文投稿を計画している。
|
Research Products
(3 results)