2018 Fiscal Year Research-status Report
シグナル伝達イメージング技術による、神経細胞死抑制剤投与法の開発
Project/Area Number |
18K16578
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐沢 康暉 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70812957)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | MAPキナーゼ / 酸化ストレス / 細胞死 / FRETプローブ / システム生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血による神経細胞死では、酸化ストレスが重要な役割を果たしている。ラットの虚血モデルにおいて、虚血部位の周囲でMAPキナーゼがリン酸化がおこる。酸化ストレスによる神経細胞死において、シグナル伝達物質、MAPキナーゼの活性化が関与するといわれ、治療のターゲットの一つとして期待されている。 本研究では、(1)酸化ストレスによる細胞死モデルであるマウスの海馬由来のHT22細胞を用いて、MAPキナーゼの活性化を反映するFRET (fluorescence resonance energy transfer)プローブを組み込み、酸化ストレスによるMAPキナーゼの活性化を、可視化、定量化する実験系を確立する。(2)酸化ストレスをうけてから神経細胞死に至るまでの過程におけるMAPキナーゼ活性を1細胞レベルでリアルタイムに観察しその制御メカニズムを明らかにする。MAPキナーゼの活性化パターンと細胞の生存時間の関連性を明らかにし、MAPキナーゼの活性化による細胞の生存から死へ至る臨界点、すなわち細胞死から回避しうる限界点を明らかにする。 本年度は、FRETプローブを組み込んだHT22細胞が観察可能であるかかどうかを検討した。1分ごとの短い時間間隔で蛍光画像を高解像度で16時間以上観察可能であった。無刺激では、MAPキナーゼの活性化が観察されず、多くの細胞が12時間以上生存した。一方、グルタミン酸を投与し、細胞に酸化ストレスをあたえると、MAPキナーゼが活性化し、細胞死が生じる現象を可視化した。グルタミン酸のさまざまな濃度を細胞に与えて、酸化ストレスにより活性化されるMAP キナーゼの活性化の度合いを定量した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では、可視化:細胞を蛍光顕微鏡を用いて観察するまでを目的としていたが、定量化:オートトラッキングプログラムの開発着手まで行うことができ、計画を当初の予定より早く進めることができも可能となった。オートトラッキングプログラムを用いて、撮影した画像の蛍光信号を自動認識し、1細胞ごとに、定量化し、時系列データを取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、作成を開始した実験系およびオートトラッキングプログラムをもちいて、治療薬の効果、限界を明らかにする。特に時系列データから予測される活性化の限界にたっする直前のタイミングにおいて治療薬を投与することで、臨界点より前で、薬剤にてMAPキナーゼの活性化をコントロールし、神経細胞死を抑制する治療法の開発を目指す。さらに、他家由来の神経再生治療薬が開発、上市される予定で、それに関連した研究も進めていく。
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった機械が平成31年度に新機種が発売されるとの情報があり、年度内の購入を見合わせ、平成31年度に購入することにした。人件費も人材派遣会社を利用することを想定していたが、募集により直接雇用することができ、人件費を圧迫することができた。
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Research Products
(7 results)