2018 Fiscal Year Research-status Report
思春期特発性側弯症に伴う腰痛の特異的な発症メカニズムの解明
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18K16665
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
幸 博和 九州大学, 大学病院, 助教 (80805276)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 思春期特発性側弯症 / 腰痛 / 筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期特発性側弯症では腰痛の有訴率が同一年代の集団と比べて有意に高いことから、本研究では思春期特発性側弯症の左右傍脊柱筋が非称性に機能していることと腰痛との関連に着目し、思春期特発性側弯症特有の腰痛の病態の解明することを目的としている。 これまでに15例の側弯症の手術症例に対して、術前から経時的にデータの収集を開始している。表面筋電図は、腰椎カーブの頂椎レベルでの凹側、凸側の多裂筋および大殿筋の筋活動パターンを記録し、その筋電図波形の左右差を解析した。多裂筋の筋活動は、術前では側弯凸側にある左側にて大きい傾向にあったが、術後には凹側にある右側で筋活動が大きくなっていた。大殿筋の筋活動に関しては、術前ほとんど左右差は認めなかったが、術後には右側において筋活動が大きくなっている傾向にあった。脊柱アライメントが手術にて矯正され変化することで、体幹部のバランス保持のために作用している体幹筋にも変化が生じていると考えられた。この結果を踏まえ、我々は術前後での歩行パターンの変化を体幹部の歩行時の動きの変化で評価するために、三軸加速度センサーを体幹(胸椎中央部、仙骨部)に装着し、データ測定を行っている。さらに、X線画像での術前後での脊柱の冠状面および矢状面アライメントおよびJOABPEQやSRS-22などの患者立脚型質問評価と筋電図・加速度センサーでの記録との関連についても評価を行っている。 来年度はさらに症例を集め、手術時に採取した筋組織の病理学的な評価についても解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
思春期特発性側弯症の手術症例に関する解析は、前述のように左右の傍脊柱筋の筋活動に差を認める傾向にあることから、今後さらに症例数が増えることによって、腰痛との関連についての知見が得られるのではないかと考えている。一方、非特異的慢性腰痛患者の症例数がまだ少ないため、今後積極的に評価を行っていく必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、症例数をさらに増やし、歩行時の筋電図や加速度センサーでのデータとX線画像、症状との関連について、検証を行っていく。また、非特異的慢性腰痛患者の症例での調査をより積極的に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入したEMG研究用プログラムが予定より安価であったため、残りを次年度の物品購入などに使用する予定である。
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