2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of low back pain associated with adolescent idiopathic scoliosis
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18K16665
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
幸 博和 九州大学, 大学病院, 助教 (80805276)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 思春期特発性側弯症 / 腰痛 / 筋電図 / 三軸加速度センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期特発性側弯症(AIS)では腰痛の有訴率が同一年代の集団と比べて有意に高いことから、本研究ではAISの左右傍脊柱筋が非称性に機能していることと腰痛との関連に着目し、AIS特有の腰痛の病態の解明することを目的とした。 AISにて手術予定の患者のL3レベルでの左右の傍脊柱筋および大殿筋の筋活動を表面筋電図にて記録したところ、単脚支持期および両脚支持期ともに筋活動量に左右差は認めなかった。また、健常者を対照群として筋活動量を比較したところ、筋活動量および筋活動パターンともに明らかな有意差を認めなかった。 AIS術後の筋活動に関しては、傍脊柱筋の筋活動に左右差はなかったが、大殿筋は右側において筋活動が有意に大きくなっている結果であった。この結果は、脊柱アライメントが手術にて矯正され変化することで、体幹部のバランス保持のために作用している筋群に活動量の変化が生じていると考えられた。 この結果を踏まえ、我々は術前後での歩行パターンの変化を体幹部の歩行時の動きの変化で評価するために、三軸加速度センサーを体幹(胸椎中央部、仙骨部)に装着して解析を行ったところ、術前、術後共に歩行動作における胸椎部と骨盤帯の側方偏移量に左右差を認めず、身体前額面上の片側への身体偏移は生じないことが示唆されたが、一方で、矢状面上の体幹前後傾運動においては、術後の左立脚期は右立脚期に比べて有意な体幹前傾運動を認めた。筋電図での評価において術後大殿筋の筋活動に有意な左右差を認めていたことから、手術にて脊柱が固定されたことに伴い傍脊柱筋と大殿筋の相互作用としての腰背部支持機構のバランスが変化し、大殿筋筋活動に左右差が生じた可能性が考えられた。 AIS術後は脊柱が固定され、アライメントが変化するため、歩行時の傍脊柱筋と大殿筋の相互作用に変化が生じ、その結果として腰痛発症に影響を与える可能性があることが示唆された。
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