2018 Fiscal Year Research-status Report
胎児染色体数的異常に起因する不育症の関連遺伝子の解析とリスク評価の開発
Project/Area Number |
18K16807
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
吉原 紘行 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30812094)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 不育症 / 胎児染色体数的異常 / コヒーシン / 減数分裂特異的遺伝子 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
不育症の原因は胎児染色体数的異常が最も頻度が高い。しかし、その関連遺伝子は未だ同定されていない。染色体接着を制御し減数分裂に関わるコヒーシンが加齢とともに減少することに着目し、コヒーシン蛋白を構成する遺伝子 STAG3,REC8,RAD21L、コヒーシンの分解保護に関わる遺伝子 MSH5,MEIKIN などの多型解析を行ってきた。減数分裂特異的遺伝子に着目し、不育症における減数分裂に由来する胎児染色体数的異常の関連遺伝子を同定することが、本研究の目的である。流産しやすい体質だと分かれば早めの出産を検討するなど、流産リスクを知ることにより、女性がライフプランを考えるためのbiomarkerとして貢献する効果が期待できる。 (1)減数分裂特異的遺伝子について1000genomeのデータベースからSNP情報を調べ、Haploviewのソフトウェアを用いて機能的なTag SNPを選択する。(2)候補SNPの遺伝子多型について胎児染色体数的異常のあった不育症患者を症例とした症例対照研究を行う。対象症例は2回以上流産を繰り返し、過去の流産において胎児(胎芽)染色体数的異常が確認されている患者200 人。夫婦染色体異常、子宮奇形、抗リン脂質抗体症候群、倍数体および 45,X による流産は除外する。対照は流産歴がなく、出産歴のある200人。 PLK4は体細胞由来数的異常関連遺伝子であるが、rs2305957多型が不育症に関係するという報告がある。既往流産の胎児染色体分析は行っていないため検討を行った。胎児染色体数的異常に起因する不育症の関連遺伝子の解析のため患者の血液検体からDNAを抽出し、TaqMan PCR法によるタイピングを行い、現在PLK4 rs2305957を含む19SNPの解析を終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胎児染色体数的異常に起因する不育症の関連遺伝子の解析とその遺伝子多型の選択をするため1000 GenomeのデータベースとHaploviewのソフトウェアを駆使し、コヒーシンを構成、または分解保護に関わる遺伝子の領域を調べ、機能的と考えられるSNPを選択する。Coding region内のアミノ酸配列に変化を起こすSNPを選択し、non-coding regionについてはRegulome DBを用いて遺伝子発現制御に関わるSNPを選択する。連鎖不平衡構造からTag SNPを選択して、候補SNPについてタイピングを行い、患者群とコントロール群間でアリル頻度を比較していく手法である。その解析は現在も進行中であるが、データベースの既報告を利用しているため、コヒーシンの分解保護に関わり重要だと考えられるMEIKINなど比較的新規で既報告の少ない遺伝子については解析することができない。今回の解析だけでは胎児染色体数的異常に起因する不育症の関連遺伝子の網羅的な解析はすることができないことも分かってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後症例対照研究から到達したSNPについて、流産回数、染色体核型などの臨床データとの関係を解析する。また、同じ検体を用いてゲノムワイド関連解析やimputation解析を行うことにより、既報告で発現が確認されていない比較的新規の遺伝子多型についても解析が可能になると考えている。別のデータベースから流産歴のないコントロールを利用したとすると、ゲノム全域に分布する50万個のSNPsを用いて関連解析をした場合、マイナーアリル頻度を0.2とすると有意水準(1.0×10-7)をクリアするSNPsがオッズ比2.1以上なら80%の確率で検出することができる。 マイクロアレイを用いてのゲノム全域の約60万SNPのタイピング実験を行う。インピュテーション解析により実際にタイピングを行ったSNP以外についても、周囲のSNPの情報と連鎖不平衡を考慮することで遺伝子型を推定する。P値の低いSNPについては個別にタイピングを行い、候補SNPのタイピングデータに問題がないことを確認する。 日本人のゲノム情報を解析することに特化したSNPタイピングでは、1検体当たり20,000円のため200検体で400万円の費用がかかることになる。今後獲得できる研究費によって解析方法を決定していくことになる。
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Causes of Carryover |
胎児染色体数的異常に起因する不育症の関連遺伝子の解析は現在も進行中であるが、データベースの既報告を利用しているため、コヒーシンの分解保護に関わり重要だと考えられるが比較的新規で既報告のない遺伝子については解析することができない。今回の解析だけでは胎児染色体数的異常に起因する不育症の関連遺伝子の網羅的な解析はすることができないことが分かった。 同じ検体を用いてゲノムワイド関連解析やimputation解析を行うことにより、既報告で発現が確認されていない比較的新規の遺伝子多型についても解析が可能になると考えている。マイクロアレイを用いてのゲノム全域の約60万SNPのタイピング実験を行いたい。そのために使用額の一部は次年度へ持ち越しておきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)