2019 Fiscal Year Research-status Report
胎児染色体数的異常に起因する不育症の関連遺伝子の解析とリスク評価の開発
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18K16807
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
吉原 紘行 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (30812094)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 不育症 |
Outline of Annual Research Achievements |
絨毛染色体数的異常は不育症原因の40-50%を占めると言われる。加齢により卵母細胞の分裂エラーが増加し染色体数的異常が増加する。姉妹染色体はコヒーシン蛋白により結合されるが、STAG3はコヒーシンを構成する減数分裂特異的蛋白である。一方、PLK4は体細胞分裂の中心小体の生合成に重要な役割を果たし、マウス胚で最初の細胞分裂の紡錘体形成に不可欠であることが知られている。PLK4(rs2305957)は不育症と関連していると報告があるが、この研究は受胎産物が異数性を示す患者に焦点を当てていなかった。そこで、本研究では受胎産物が異数性を示した不育症患者において、STAG3,PLK4(rs2305957)と不育症の関連性を調べた。 受胎産物が異数性を示した不育症患者184人と流産歴がなく出産歴のある女性190人を比較する症例対照研究を行った。抗リン脂質抗体症候群、夫婦染色体異常、子宮奇形がある患者は除外され、受胎産物が正常、倍数体、45,Xである患者は除外された。1000genomeの日本人データベースに登録された218SNPからマイナーアレル頻度(MAF)が0.05以上で、候補多型とSTAG3発現量との関連が期待できるSNPのうち、遺伝子関連解析を行うSNPを連鎖不平衡の関係から絞り込みを行った。適切な遺伝モデルの検証、多重比較回避のためmax検定を施行した。この研究は当院倫理委員会の承認を得て実施された。 6個のSNPが解析された。STAG3,PLK4(rs2305957)において、患者群とコントロール群との間でMAFに有意差はなく、どの遺伝モデルにおいても有意な関連を示すことはできなかった。この研究内容をまとめ、PLK4について欧州生殖医学会と国際不育症学会にて演題発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回はコヒーシンを構成するSTAG3と体細胞分裂に関与するが不育症と関連していると報告があったPLK4(rs2305957)に着目して解析を行ったが、患者群とコントロール群との間でMAFに有意差はなく、どの遺伝モデルにおいても有意な関連を示すことはできなかった。 胎児染色体数的異常に起因する不育症の関連遺伝子の解析とその遺伝子多型の選択をするため1000 GenomeのデータベースとHaploviewのソフトウェアを駆使し、遺伝子の領域を調べ、機能的と考えられるSNPを選択する。Coding region内のアミノ酸配列に変化を起こすSNPを選択し、non-coding regionについてはRegulome DBを用いて遺伝子発現制御に関わるSNPを選択する。連鎖不平衡構造からTag SNPを選択して、候補SNPについてタイピングを行い、患者群とコントロール群間でアリル頻度を比較していく手法を用いた。データベースの既報告を利用しているため、候補遺伝子を網羅的に解析することができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後同じ検体を用いてゲノムワイド関連解析やimputation解析を行うことにより、既報告で発現が確認されていない比較的新規の遺伝子多型についても解析が可能になると考えている。 マイクロアレイを用いてのゲノム全域の約60万SNPのタイピング実験を行う。インピュテーション解析により実際にタイピングを行ったSNP以外についても、周囲のSNPの情報と連鎖不平衡を考慮することで遺伝子型を推定する。P値の低いSNPについては個別にタイピングを行い、候補SNPのタイピングデータに問題がないことを確認する。
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Causes of Carryover |
今後同じ検体を用いてゲノム全域の約60万SNPのタイピング実験を行い、現在解析中である。その結果をもとにP値の低いSNPについては個別にタイピングを行い、候補SNPのタイピングデータに問題がないことを確認するため、次年度へ予算を持ち越すこととなった。
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Research Products
(2 results)