2018 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌における循環腫瘍DNAを用いたPrecision Medicineの確立
Project/Area Number |
18K16894
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古後 龍之介 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90529885)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ctDNA / liquid biopsy / 頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部扁平上皮癌の腫瘍マーカーとしてSCC抗原が用いられるが、診断時に上昇していない症例や再発時にも上昇しない症例も多い。また、喫煙者では非担癌患者でも上昇している症例もあり、有用なマーカーとは言い難い。 我々は頭頸部扁平上皮癌における新たなマーカーとして腫瘍特異的変異遺伝子を血漿中で検出し、モニタリングするct(circulating tumor)DNAモニタリングの有用性について検討した。 頭頸部扁平上皮癌17症例の腫瘍組織(生検検体、手術検体)と末梢血単核球 PBMC(正常細胞)の採取、治療前、治療後、フォローアップ中の血漿をseuquentialに採取、保存を行った。すべての症例の腫瘍組織、PBMCからのDNAの抽出、血漿cf(cell free)DNAの抽出も終了した。まず、長期フォローアップを行った3症例について腫瘍細胞、PBMC(正常細胞)の変異解析をIon Ampliseq Cancer Hotspot Panel ver.2を用いて行った。同定された腫瘍特異的変異遺伝子は平均1.3個であった。症例ごとに腫瘍特異的な遺伝子変異を同定後、標的とする変異遺伝子を血漿中でctDNAとして検出するためのdigital PCR用primer-probeを設計した。治療前後、治療後フォローアップ中のctDNAをdigital PCRで検出したところ、3症例全てで治療後ctDNAは検出感度以下に低下し、再発した2症例については再発時には上昇を認めた。このうち1症例については画像精査前にctDNAの増加を確認できた。頭頸部扁平上皮癌において、ctDNAによるモニタリングは鋭敏な腫瘍マーカーとなる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
九州大学に加えて、2018年4月より北九州市立医療センター耳鼻咽喉科を共同研究施設として追加した。倫理委員会の承認も得て、症例は順調に集積できており、組織、PBMC、血漿中のcfDNAの抽出も終了している。まず、長期フォローアップ症例3例から次世代シーケンサーによる変異解析、ctDNAを用いたliquid biopsyを開始している。ctDNAが頭頸部扁平上皮癌の治療効果のマーカー、再発のマーカーとして有用となりうる結果が出ているため、研究は順調に進展していると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンサーによる変異解析は現在Ion Ampliseq Cancer Hotspot Panel ver.2を用いているが1症例における変異遺伝子数は1-2個と満足できるものではない。変異遺伝子の検出率を上昇させるために、頭頸部扁平上皮癌特異的な遺伝子変異を複数pick upできる遺伝子パネルの使用を検討している。複数の変異遺伝子を血漿中のctDNAとして検出することでliquid biopsyで追跡しやすい有用なマーカー(変異遺伝子)を同定できる可能性がある。
|
Causes of Carryover |
ctDNA検出のためのdigital PCR用primer-probeの作成やdigital PCR試薬、遺伝子パネルによる変異解析は本研究の研究代表者が研究分担者として寄与している基盤研究(B)18H02951(研究代表者 中川尚志)の研究費を用いて実施したため、当初予定していた予算を使用する必要がなかった。次年度移行は当初予定していた症例数以上に症例数を増やし、遺伝子パネル検査、ctDNAモニタリングを行う予定である。
|