2018 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌におけるautophagy異常に起因した癌治療抵抗性の解明と制御
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18K16902
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
新井 啓仁 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 学内講師 (10716070)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫染色 / p16 / p62 / 中咽頭癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
中咽頭癌は同じ部位に発生していてもp16の陽性/陰性により、その増殖形式や、治療への反応性、予後が異なることが明らかとなり、TNM分類にも中咽頭癌をp16陽性/陰性で区別する流れとなってきた。特に治療への反応性のなかでも放射線療法、化学療法に対する効果がp16陽性中咽頭癌では有意に良好であることが示されてきている。中咽頭癌は頭頸部癌のなかでも、過去に報告したp62(SQSTM1)の発現との関連を研究するのに適した癌種と考えられたため、当科で治療を行った中咽頭癌症例について、カルテレビューを行い、現時点で78例についてstage、疫学的因子、その背景、治療内容、予後について調査した。特に亜部位にわけて側壁が最多で、前壁、上壁、後壁の順であった。まずは無作為に20検体を選択して、p16、p53、p62について免疫染色を行った。p62は他癌腫において予後因子となることが多く報告されており、頭頸部癌ではあまり報告がない。1検体は治療後転院していたため、予後解析が行えなかったため、計19検体について各因子と予後についての評価を行った。19例中、3例は死亡が確認され、p16陽性中咽頭癌は13例、p16陰性中咽頭癌は6例含まれた。前者においては1例原病死が確認され、後者においては2例含まれた。次にp62においては陽性が10例、陰性が9例、原病死は全て陰性の群に含まれた。今回選択された検体のなかでは、p62の方が予後との相関が高い印象となったが、p値は有意な値とはならなかった。その後、TCGAを用いてp62と中咽頭癌の予後解析をおこなったところ、中咽頭癌においては有意な予後指標とはならないことがin silicoで示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までカルテレビューによる情報の抽出を行い、無作為的な選択を行って19例について検討を行えてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
in silicoの結果と今回検索した検体における結果は解離している。有意な予後指標とはならなくても、少なくともp62が発現している症例は予後不良な傾向であることは両者において言えそうである。直接的な因子にならず間接的に関わっているとすれば、それが何かを見つけ出すのが次の課題といえそうである。p62はKeap1やNrf2経路にかかわり、それらは酸化ストレスに関わっている。口腔・咽頭は酸化ストレスに毎日晒されているわけで、それらの発現やDNA損傷に大いに影響していることが予測されるため、免疫染色を行う際にそれらの因子も同時に調べていくことを予定している。
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Causes of Carryover |
手元にある検体について免疫染色を行うのに、必要最小限としてのパイロットスタディとしてp16,p53,p62の3種類の免疫染色を行った。次年度では再度同検体の染色を行う際に、p62が関与する因子(Keap1やNrf2など)を含めた免疫染色を行っていくことになるため支出は自然と増加する。余剰分についてはこれらの購入費に充てていきたい。
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Remarks |
京都府立医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室のwebサイトの中に研究内容として掲載されている。
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