2019 Fiscal Year Research-status Report
未固定遺体の皮弁穿通枝にMicrofil造影剤を注入し微細な血管網を明らかにする
Project/Area Number |
18K16989
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安倍 吉郎 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (40467808)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血管解剖 / 皮膚穿通枝 / 皮弁 / 血行動態 / linking vessel / angiosome / perforasome |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的である身体各所の皮膚に至る血行動態を解析するために、昨年度の予備実験をもとに今年度の研究を行った。昨年度の検討結果から、未固定遺体の保存状態が比較的いいものを選んで解剖した。 大腿の前外側大腿皮弁では合計3箇所皮弁を挙上したが、皮弁の主栄養血管である外側大腿回旋動脈の下行枝から筋膜までの血管に関しては、Microfilを血管内に注入することにより同定可能であるものの、脂肪内の1mm前後の口径をもつ穿通枝血管については明確に描出されたものはなかった。未固定遺体においても、微細な血管に関しては血管内腔が虚脱し閉塞しかけていると考え、Microfilを注入する際に一定の圧力を保つために微量注入器を用いて注入したが、筋膜より遠位のレベルでは途中でMicrofilが漏出してしまい、うまく描出されなかった。本皮弁の皮膚穿通枝が主に筋肉内を走行しているため、未固定遺体では皮膚に至るまでの血管の枝の処理が煩雑で不確実になっていることが漏出の一因と考えられた。比較的血管の処理がしやすい筋間穿通枝の走行パターンを持つ遺体では、より確実な血管処理が可能になり、明瞭な描出が得られる可能性があると考えれる。 背部の胸背動脈についても合計3箇所で皮弁を挙上し、Microfilを中枢血管より注入したところ、前外側大腿皮弁より途中の血管の処理が容易であるため、すべての皮弁で皮膚近傍にまで至る血管の描出を認めた。しかし、比較的痩せた遺体が多く、さらに側胸部から背部にかけては皮膚が変形している状態であったため、脂肪内の血管については肉眼的に明確なperforazomeを同定することは困難であった。背部に関しては、大腿よりもさらに条件がよい遺体を選ぶ必要があると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
未固定遺体は1体つき複数の研究に使用されているため、解剖順番の調整が必要であることから、こちらの希望日と一致しないことがあることに加え、個々の遺体の状態についても勘案しなければならないため、進行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、できるだけこちらの希望する状態に合った遺体を申請することと、早めに申請してできるだけ希望日に研究ができるように調整し対応する予定である。 また、特に筋肉内穿通枝の血管処理に関しては、今までは糸による結紮を行なっていたが、機械式クリップの器具を新たに用意し、途中の枝からMicrofilが漏出しないような工夫を行う予定である。 そのほかにも、今までは血管剥離を終えてからMicrofilを注入していたが、途中で虚脱している状態の穿通枝の走行を確認できなくなることがあったため、途中で主要血管を一時的にクランプした上でMicrofilを投与し、中枢の血管を拡張してから末梢の穿通枝の走行を確認するといった工夫も行う予定である。
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