2018 Fiscal Year Research-status Report
費用効果分析に基づく脳卒中後の集中的リハビリテーションの治療戦略
Project/Area Number |
18K17324
|
Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
長山 洋史 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (00552697)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | リハビリテーション / レセプトデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,株式会社JMDCより,レセプトデータを購入し,脳血管障害者におけるリハビリテーションの密度と退院後5年間の医療費との関連について検討した.対象者は2005年1月から2017年12月までに脳卒中の診断がある患者143203名とした. 〇方法の概要:群分けとしては,①低密度群:回復期リハビリテーション病院入院時の1日あたりの平均単位数が5単位未満の者とした.②高密度群:回復期リハビリテーション病院入院時の1日あたりの平均単位数が5単位以上の者とした.リハ密度と医療費としては,レセプトデータより、高密度群と低密度群それぞれの入院日数,回復期入院医療費,総医療費(脳卒中発症年の翌年から5年間の医療費),退院後医療費を算出し,両群間で比較した.リハ密度と再入院率としては,Cox回帰分析により2群のハザード比を算出した. 〇結果の概要:入院日数,回復期リハ病院の入院医療費に関しては,高密度群が有意に高値であった(P<0.01).退院後医療費は、有意差は認められないが低密度群が高値となっていた(P=0.70).総医療費に関しては,有意差は認められないが高密度群が高値となっていた(P=0.054).再入院率は,ハザード比は0.86であり,有意差は認めなかった(P=0.71). 〇今年度の研究の結論:入院日数,回復期入院医療費は共に高密度群が有意に高く,退院後医療費は有意ではないが低密度群が高値となった.再入院率も発症後5年以上経過すると低密度群が高密度群を大きく上回る結果が得られた.多くの限界はあるものの,回復期リハ病院での集中的リハは退院後医療費に影響する可能性が示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究の概要としては,長期に渡り追跡可能なレセプトデータを用いて,回復期リハ密度による群分けを行い,長期的な医療費や再入院率を比較検証した.その結果,多くの限界はあるものの,回復期リハ病院での集中的リハは退院後医療費に影響する可能性が示唆された. 本研究の限界として,以下の点が挙げられた. 1.5年間追跡できるデータが全体で74名と少ないこと. 2.重症度などの交絡因子の影響を受けていること. これらは,研究開始時に,ある程度予測はしていたものの対策が不十分であったことが挙げられる.しかしながら,操作変数法や回帰不連続デザインなど交絡因子を調整し,検討することで解決ができると考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は,前年度の研究結果を踏まえ,新たなデザインでの研究を開始する.特に,交絡因子の調整が必要であり,回帰不連続デザインを用いて,新たに検証していく予定である.
|
Causes of Carryover |
本年度は,レセプトデータ並びに統計処理用のパソコン,統計ソフトを購入した.データ購入において,予定額よりやや安く購入できたため,次年度使用額が生じた.
|