2019 Fiscal Year Research-status Report
腎移植レシピエントの性の健康を支援するアプローチの検討
Project/Area Number |
18K17590
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
吉川 有葵 四天王寺大学, 看護学部, 准教授 (20614085)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腎移植 / 性機能 / レシピエント / QOL / 妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎移植で期待される効果の一つに性機能の改善がある。腎移植を受けた女性は月経の再開により妊孕率は回復するが、生児獲得率は一般女性より低い。一方、腎移植を受けた男性は、黄体ホルモン・卵胞刺激ホルモン・プロラクチンの改善、勃起機能、精子濃度と運動性が改善するが、自覚的性機能の改善は乏しい。男女ともに生殖機能や性生活における心理的負担は大きく、性機能を取り巻く心理的側面の改善には至っておらず、レシピエントは性の健康に問題を抱えている。本研究では腎移植レシピエントにおける性の健康、QOLの維持・向上につなげるため、腎移植レシピエントの性機能およびQOL、性機能を取り巻く要因との関連を明らかにし、腎移植レシピエントの性の健康を支援するアプローチモデルを開発する。 研究デザインは横断研究である。令和元年度は、腎移植実施施設に研究協力を依頼し、腎移植を受けた患者116名(男性73名、女性43名)に対して研究協力の説明ならびに協力依頼を行った。なお、本研究では妊娠・出産だけに着目せず、腎移植レシピエントの生涯的な性の健康に焦点を当てるため、生殖可能年齢に限らず、全世代を対象として調査した。調査内容は基本属性、性機能の評価として男性はInternational Index of Erectile Function (IIEF)、女性はFemale Sexual Function Index (FSFI)、健康関連QOLの評価としてSF-36、疲労の評価としてFunctional Assessment of Chronic Illness Therapy-Fatigue(FACIT-F)である。本研究に対して同意が得られたのは111名(男性72名、女性39名)であり、調査票への回答が得られたのは83名(男性53名、女性30名)(回答率71.6%)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査を開始し、調査票が回収できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
データの分析は、腎移植レシピエントへの調査で得られた回答を統計分析ソフトに入力し、対象者の属性等は記述統計量を算出する。各スコアの高低群比較にはMannWhitneyU検定を用い、スコア間の関連は相関、重回帰分析を行い、性の健康に関するサポートニーズは内容分析を行う。これらの結果をもとに腎移植を受ける患者の性機能およびQOL因果関係の初期モデルを男女別で構築する。モデルは構成要素間の関係、寄与率を明らかにするために共分散構造分析を行い、モデルのデータへの適合度を検証し、モデルの有用性を確認する。以上の分析結果から移植後の経過を勘案した支援時期の検討、性機能に関与する要因およびレシピエントのニーズから支援内容の検討を重ね、さらに医学的見地・看護学的見地を踏まえ、腎移植レシピエントの腎移植レシピエントの性の健康を支援するアプローチモデルを開発する。 現在、コロナウイルスにおける感染拡大の予防ならびに対応のため、病院内での調査を中断している。説明対象者は腎移植を受けた患者(男性100名、女性100名)を目指しているため、現段階では目標数に到達していない。腎移植レシピエントは免疫抑制剤を内服している状態であり、患者の安全を確保するためにも調査の再開はコロナウイルスによる感染症の状況を鑑みて慎重に検討する必要がある。調査が再開できない場合は、現段階でも貴重なデータは得られているため、回収できているデータをもとに分析を進めることとする。
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Causes of Carryover |
分析ソフトが未購入のため。
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Research Products
(4 results)