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2020 Fiscal Year Research-status Report

長期経年政府統計データを用いた3種類の健康寿命に関連する要因の探索と比較

Research Project

Project/Area Number 18K17637
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

平 和也  京都大学, 医学研究科, 助教 (70804847)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords健康寿命 / 政府統計 / 主観的健康感
Outline of Annual Research Achievements

日本国内で政策目標として用いられている3種類の健康寿命について、2010年、2013年、2016年の都道府県ごとの数値を用いて、各健康寿命間の相関係数及び算出時に用いる健康の定義(日常生活動作における制限の有無、主観的健康感、要介護度)の変数がどの程度健康寿命に影響を及ぼすのかを一般化線形混合モデルを用いて回帰分析した。相関分析の結果、要介護度をもとに算出する健康寿命とその他2つの健康寿命は、異なる指標である可能性が示唆された。また、健康を定義する変数と健康寿命の都道府県順位と関連では、主観的健康感または要介護度の不健康な人の割合を減らすことが健康寿命の延伸につながることが明らかとなった。本結果は、BMC Research Notesに掲載されている。(https://doi.org/10.1186/s13104-020-05213-z)
主観的健康感が健康寿命の都道府県順位との関連を認めたことから滋賀県内で何を基準に主観的健康感の健康・不健康を判断しているのかを年齢・性別に層化し,30歳代~70歳代の男女計59名にインタビュー調査を実施した結果、男性のほうが検診や血液検査の結果といった自身の客観的なデータをもとに健康を判断しており、女性の方が家事・育児の環境や家族や友人の病気など他者との関係性の中で健康を判断している傾向が見受けられた。若い世代では、特に女性において家事や育児の負担について語られることが多く、健康診断やがん検診を受診するだけでなく適切に健康管理をしていくこと、また、社会における自身の役割が持てていることが主観的な健康を向上させる要因として抽出された。これらの結果は、健康しが県民意識調査報告書(https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5112626.pdf)として滋賀県のホームページに掲載されている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

滋賀県で実施した主観的健康感の判断要因に関するインタビュー調査の結果について、分析および論文執筆にかなりの時間を要した。しかし、健康しが県民意識調査報告書として滋賀県のホームページに掲載されているとおり、一定の傾向は見受けられたものの、学術的な成果物とするには追加調査や分析をすることが望ましいと考えている。
そのため、上記の分析の結果を踏まえ、都道府県の健康寿命順位と関連を認めた主観的健康感について、滋賀県で実施したインタビュー調査の結果から、子育て世代の家事・育児負担に着目し、オープンデータ(Japanese General Social Surveysのパネルデータ)を用いて、関連要因を分析した結果を、現在SAGE Openに投稿し、査読結果待ちの状況である。
また、主観的健康感以外にも要介護度を低く保つことも健康寿命と関連があることが明らかとなったため、要介護の原因となる疾患として上位を占めている脳血管疾患に着目し、脳血管疾患の死亡と関連する要因についても分析することとした。公衆衛生行政において、リスクが高い人にアプローチできることが理想であるが、健診を受診している人以外は把握が難しい現状にあるため、インターネット上のログデータを活用することで、早期探知や予防的介入ができないかを検討している。

Strategy for Future Research Activity

健康寿命の延伸に関連する要因について、都道府県単位での分析で、主観的健康感及び要介護度をより健康な状態に保つことが重要であることが明らかとなった。そのため、これらの要因に対してオープンデータやインターネット上のログデータを活用して、行政施策の検討の一助となるようなより具体的な要因について、投稿中の論文の採択を含め、分析および論文執筆作業を進めていく。
これまでの研究過程から、健康寿命に関する研究結果が、政策に直結しにくいという認識を抱いており、現行の健康寿命の算出方法がサリバン法という算出方法を用いて実施されており、人口規模が1.2万人以上の比較的大きな集団でないと算出ができないという点に起因していると考える。すなわち、個人毎によって判断基準が大きく異なる健康という概念を、大集団で均一のものとして捉えているために、特定の関連要因を絞り込めていない可能性がある。
そのため、行政の政策目標となっている3種類の健康寿命の算出方法以外の手法(多相生命表法など)を試み、政策目標となっている3種類の健康寿命との比較を実施していく。これらの分析を実施することにより、行政の政策目標としてより適切な指標としての健康寿命の検討や具体的な政策内容に関する示唆が得られるものと考える。

Causes of Carryover

主観的健康感の判断要素に関するインタビュー調査の分析に非常に時間を要したが、今後の研究の方向性に関する示唆は得たものの、論文掲載に至る結果は得られていない。また、主観的健康感や要介護の主たる原因である脳卒中をアウトカムとした、オープンデータを活用した論文を執筆し投稿をしているが、査読に時間を要しており、結果待ちとなっている。また、都道府県よりも小さな行政区毎の健康寿命の算出や政策目標の健康寿命の算出に使用されているサリバン法以外の健康寿命の算出についても実施を試み、より客観的に現行の健康寿命の評価を行うとともに、今後の研究の展望についても考察していく。
予算の使用計画としては、執筆・投稿中の論文の英文校正や掲載事務手数料に充てる。また、従来法以外の多相生命表法での健康寿命の算出をするためには、統計ソフトSAS上でのみ動くパッケージを利用する必要が生じるため、分析環境を整えるために使用する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] Comparing the differences in three measures of healthy life expectancy among prefectures in Japan2020

    • Author(s)
      Kazuya Taira, Soshiro Ogata, Kei Kamide
    • Journal Title

      BMC Research Notes

      Volume: 13 Pages: 1-7

    • DOI

      10.1186/s13104-020-05213-z

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2021-12-27  

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