2019 Fiscal Year Research-status Report
競泳のスタート局面における入水前後の動作と流体力の関係及び最小減速モデルの構築
Project/Area Number |
18K17849
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
明石 啓太 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 契約研究員 (10740160)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 競泳 / 水泳 / スタート / バイオメカニクス / 動作分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は2018年度実施分と併せて男子競泳選手30名のスタート局面における入水前から全身入水完了までの動作を撮影および分析し,入水完了直後の重心水平速度が高い泳者の動作的特徴を調査した.分析項目は重心速度,手および大転子の入水距離,上体・大腿・下腿セグメントの傾き角,重心回りの角運動量などであった. 全身入水完了時の重心水平速度は入水開始時の重心水平速度と有意な相関が認められた(r = 0.700, p < 0.01).このことから,離台時の重心水平速度が高ければ入水による減速が生じた後もある程度は重心水平速度が高いままであると考えられる.しかし,入水開始時と全身入水完了時の重心水平速度における決定係数(R^2)は0.490であり,全身入水完了時の重心水平速度には他の要因が関係していると推測される.そこで,入水開始時の重心水平速度の影響を除いた全身入水完了時の重心水平速度と他の変数との偏相関係数分析を行った.その結果,全身入水完了時の重心水平速度は入水開始時の重心回りの角運動量(r =-0.450, p < 0.05),全身入水完了時の上体の傾き角(r =-0.378, p < 0.05)および下腿の傾き角(r =-0.435, p < 0.05)と有意な相関関係にあった.よって,入水完了時も高い重心水平速度を保っていた泳者の動作的特徴は前転方向に大きな角運動量を持つこと,全身入水完了時も上体および下腿セグメントが前方に大きく傾いたままであることであると考えられる. これらのように入水開始時から全身入水完了時までの動作や重心速度の変化が減速低減に重要な意味を持つと考えられるため,次年度もこの局面を中心に研究を実施する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は風洞実験で全身入水完了以降の姿勢について分析する予定であったが,研究が進行する中で全身入水完了までの動作を分析する必要性が高まった.この局面は風洞実験による分析が困難であるため,計画を変更して動作分析を中心に活動していくこととした.しかし,新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け,実施予定であった女子選手を対象とした実験が中止になるなど,やや計画が滞った.
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Strategy for Future Research Activity |
本来予定していた人形模型を用いた風洞実験を実施せず,動作分析を中心に推進し,減速の少ない入水前後の動作や大きな重心回りの角運動量を獲得するためのスタート台上動作について検討する.また研究全体のまとめを行う.
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Causes of Carryover |
予定していた風洞実験の必要性がなくなったこと,実施予定であった実験の中止などにより次年度使用額が生じた.そのため,測定強化が必要になった動作分析に必要な物品(防水性マーカーなど)の購入、今年度分の被験者増加を予定。
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