2018 Fiscal Year Research-status Report
近代日本における柔術の展開―史・資料の収集と分析を中心に―
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18K17903
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
工藤 龍太 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (40717211)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 柔術 / 柔道 / 大東流合気柔術 / 合気道 / 技術史 / 社会史 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初設定した研究課題について、平成30年度の成果は以下の通りである。①近代柔術関係史・資料の収集と保存について。研究開始当初、山形県酒田市にあるとされた個人所有の蔵は、聞き取り調査を進める中で山形県最上郡にあることが判明した。平成30年度は8月に2日間の調査を行った。残念ながら柔術関係の史料を発見することはできなかったが、同地域のフィールドワークの中で、大東流合気柔術の中興の祖である武田惣角が当該地域にやってきた経緯の概略を知ることができた。 ②講道館柔道における武術性の探求について。精力善用国民体育の受容者の反応について、日本体育学会で以下の報告を行った。「戦前における精力善用国民体育の展開:嘉納治五郎の構想と受容者の反応に着目して」。また、昭和戦前期に柔道界で探求された当身技については、日本武道学会で以下の報告を行った。「昭和戦前期における『武術としての柔道』論の展開:当身技の研究に着目して」。この成果に至る過程で、1940年に講道館で設置された研究会の活動を調査し、その成果を「1940年に講道館に設置された『形研究会』の歴史的意味:嘉納治五郎の形の構想と『武術としての柔道』論の継承に着目して」(『講道館柔道科学研究会紀要』第17輯所収)として刊行した。 ③大東流の普及過程の解明について。前年度に入手した、大東流とそこから派生した相生流合気柔術の伝書を比較し、合気道と大東流の連続性について調査した。その成果を平成30年7月に開催された国際学会で発表し、英語論文集に以下の題で刊行した。「A historical study of the formative process of Aikido as a modern Bubo: Focusing on the continuity and the discontinuity of jujutsu」(2019年度刊行予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3点の課題について、いずれも順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
①近代柔術関係史・資料の収集と保存について。東京都在住の柔術関係史・資料の所蔵家の下に出向き、整理・目録の作成を行いたい。現在、福岡県にも史料が存在するとの情報を得ているので、余裕があればそちらでも調査を実施したい。 ②講道館柔道における武術性の探求について。平成30年度の学会発表を、投稿論文として刊行していきたい。1本は現在投稿中である。 ③大東流の普及過程の解明について。山形県最上郡の郷土史資料や地元の新聞・雑誌などを調査することで、武田惣角の足取りを把握すると共に、全国指導の概要も把握していきたい。
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Causes of Carryover |
柔術関係史料の賃借と保存の作業が時間の関係で実施できなかったため、次年度使用額として繰り越した。
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Research Products
(5 results)