2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢糖尿病患者の疾患性サルコペニア治療を目的とした食事・運動療法の創出
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18K17924
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森 博康 徳島大学, 先端酵素学研究所(糖尿病), 特任助教 (80611772)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サルコペニア / 糖尿病 / 食事療法 / 運動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではサルコペニア治療を目的とし、日本糖尿病学会が薦める食事・運動療法の介入が高齢者糖尿病患者の筋肉量や身体機能、QOL改善に与える影響ついて、無作為比較化試験で明らかにする。これまでに高齢糖尿病患者におけるサルコペニア治療を目的とした食事・運動療法に関するエビデンスはほとんどない、高齢糖尿病患者の血糖管理や腎症重症化予防の他、新たにサルコペニア治療を含めた従来の食事・運動療法の有効性を明らかにすることで、我が国の高齢者糖尿病治療に向けた新たなエビデンス創出が期待できる。 2018年度は高齢2型糖尿病患者の食事・運動療法の有用性に関する検討を行った。また、糖尿病を発症していない一般高齢者(非糖尿病)集団も含め、食事療法群、運動療法群、食事+運動療法群に分けた介入研究を行い、2型糖尿病の病態が食事・運動療法の介入効果に与える違いについて検証を行った。18週間の介入の結果、糖尿病治療を行っていない健常高齢者では食事+運動療法群は各単独介入と比べ四肢の筋肉量や膝伸展筋力が有意に増加していた。また、健常高齢者では四肢の筋肉量や膝伸展筋力の増加と共に身体的QOLが有意に増加していた。一方、高齢2型糖尿病患者は、一般高齢者と比べ食事+運動療法による四肢の筋肉量や膝伸展筋力の介入効果が少なかった。その結果、高齢2型糖尿病患者では食事+運動療法による身体的QOLの改善を認めなかった。本研究より、高齢2型糖尿病患者は健常な高齢者と比べ、食事+運動療法による介入効果が得られにくい可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アジアの診断基準を用いて、サルコペニアの対象者を抽出し、食事療法群、運動療法群、食事+運動療法群に分けた介入研究を開始することができた。しかし、2018年度中に全症例の介入研究を終了できなかった。2019年度も引き続き全症例の経過をフォローしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢2型糖尿病のサルコペニア治療を目的とした食事+運動療法を検討するため、介入24週間まで継続して行う。 従来のエネルギー;25-30kcal/日、たんぱく質;標準体重あたり1.0-1.2g/日の食事管理では高齢糖尿病患者の筋肉量増加が期待できない可能性が示唆される。エネルギーやたんぱく質といった栄養素としての一次機能だけではなく、栄養素以外の特定成分としての三次機能に注目した食事療法を検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
本年に実施する介入研究の開始時期が遅れ、研究費を使用する時期が遅れた。現在、介入終了後までデータを収集するので、2019年度に差額分を使用する。
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Research Products
(3 results)