2018 Fiscal Year Research-status Report
Possible interaction of dietary carbohydrate and lipid in the prevention of obesity-related disorders
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18K17946
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大南 博和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (90803057)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋萎縮 / サルぺニア / 栄養素相互作用 / スクロース / リノール酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内では、いくつもの栄養素代謝が互いに協調し恒常性を維持している。ゆえに、食事中の栄養素の組合せは、これらの栄養素代謝ネットワークに異なる影響を及ぼし、健康・発病をコントロールしていると考えられるが、栄養素の相互作用を示したエビデンスは少ない。 我々はこれまでに、スクロースとリノール酸の組合せ食が、肥満動物の病態を著しく悪化させることを明らかにしてきた。とくに骨格筋において糖・脂質代謝異常や小胞体ストレスが早期に生じていたことから、骨格筋が相互作用の主要な標的臓器と考えた。一方、このような骨格筋への相互作用は、肥満や糖尿病の病態に対してだけでなく、全身の運動・筋機能にも影響を及ぼす可能性が示唆される。したがって、この仮説を検証することにより、筋萎縮やサルコペニアの栄養管理につながる新たな知見が得られると考えた。 そこで初年度は、運動・筋機能に関連する変化を調べるため、これまでの実験系を用いて骨格筋(ヒラメ筋、長趾伸筋)の組織学的解析を行った。まず、HE染色により筋線維断面積を比較したところ、リノール酸投与で筋線維断面積が小さい傾向がみられた。とくにこの傾向は、スクロース・リノール酸食を投与したヒラメ筋でより顕著であった。さらに、ATPase染色により筋線維組成を評価したところ、スクロース・リノール酸食群で特異的に、TypeⅠ線維の増加がみられた。 このように、食餌中の糖・脂質組成の違いが筋萎縮や筋線維組成に異なる影響を及ぼすことが明らかとなり、スクロースとリノール酸の組合せ食が運動・筋機能の低下をもたらすことを示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた実験計画を開始する前に、運動・筋機能を評価するための解析に時間を要したため、全体的にはやや遅れていると判断した。しかしながら、上記の解析からは本研究の発展につながる成果が得られており、研究計画の変更は妥当であったと考えている。また予期せぬ研究代表者の所属変更が重なったことで、当初の実験計画を変更せざるを得ない状況になり、研究の進捗に影響があった。 現在は研究環境をすでに整備できていることから、次年度は計画通り研究をすすめていくことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回骨格筋の組織学的解析から、スクロースとリノール酸の新たな相互作用として、筋萎縮や筋線維組成変化を見出すことができた。次年度では、これらの変化が骨格筋の機能として反映されるか否かを、グリップテストやトレッドミル試験を用いて、全身の運動・筋機能を評価する。さらに、当初予定していた糖・脂質の相互作用に関わる分子メカニズムの解明に取り組むとともに、骨格筋の機能維持に有用な糖・脂質の組合せについても検証する。
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Causes of Carryover |
今年度は、糖・脂質組成の異なる試験食を肥満モデルラットに投与し、骨格筋の組織学的解析を行った。当初は試験食の作製に予算を計上していたが、共同研究先から提供を受けることになり、試験食作製に係る経費が不要となった。その他の消耗品の購入については、本助成金を使用する予定であったが、年度途中に研究代表者が所属機関を変更することになり、手続き上の都合や一時的に実験できない期間が生じ、当初の実験計画を大幅に変更せざるを得ない状況になったことが大きな理由である。 現在はすでに新たな研究環境を整備できており、予算執行も可能な状態である。さらには所属機関の変更に伴い、以前よりも研究時間を確保できるようになったため、当初配分していた以上のエフォートを本研究課題に割くことが可能である。 よって次年度は、今年度の内容も含めた研究課題を遂行するために、翌年度分の助成金と合わせた研究経費を必要とする。
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Research Products
(2 results)