2022 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the Transnational Nuclear Legacy in the Marshall Islands
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18K18261
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
竹峰 誠一郎 明星大学, 人文学部, 教授 (40523725)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マーシャル諸島 / 核実験 / ニュークリアレガシー / トランス・ナショナル / グアム / グローバルヒバクシャ / 非核独立太平洋運動 / 核兵器禁止条約 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)グアムと北マリアナ諸島で現地調査を実施することができた。マーシャル諸島の核実験の影響を訴える現地の団体Pacific Association for Radiation Survivors (PARS) の方々や核実験場の除染作業に関わった関係者らと知り合いになり、それぞれインタビューを行ったり、関係する文献資料を入手することができた。また北マリアナ諸島では、マーシャル諸島の核実験をはじめ、太平洋の核の歴史とそれに抗う非核独立大平洋運動に関わった関係者らとも知り合いになり、インタビューを行うことができた。 (2)マーシャル諸島をはじめ太平洋諸島地域の人びとが、国境を越えた連携も組みながら、ニュークリア・レガシーにどう立ち向かってきたのか、その歴史的な経過を追う貴重な文献資料の寄贈を受けて、解読を進めることができた。同資料を用いて関連する論文や著作の執筆作業を進めた。 (3)核兵器禁止条約第1回締約国会議を前にして、他の研究者や実務者らと共同して、英語で論文集Investigation on Compensation Measures for the Nuclear Victims/Survivors around the World: in Light of the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weaponsを発表したり、新たにウェブサイト"Seeking Justice: Compensation for Nuclear Victims/Survivors around the World"(https://nuclear-justice.net)を立ち上げたり、国際的な発信力を持った研究活動ができた。 (4)戦争社会学研究大会と日本平和学会で研究報告を行うとともに、『平和研究』に論文を発表したりして、研究成果を還元することができた。その他、NHK、中国新聞、西日本新聞などのマスコミの報道にも協力して、社会に発信力を持った研究活動を展開することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度もコロナ渦の影響が続き、特にマーシャル諸島では2022年夏に感染の急拡大が行発生した。そうしたなか現地調査の実施が難しかったが、創意工夫をして研究を進めることができたからである。 とくに2022年秋に、グアムと北マリアナ諸島での現地調査を実施できたことは大きかった。また関連する貴重な文献資料の寄贈を受けて、それらの資料を読み込み、関連する論文、著作の執筆作業をすすめることがきた。さらに英語の論文を執筆したり、英語のHPを共同で制作をしたりなど、国際的な発信能力を高めることができた。 マーシャル諸島やハワイ、米本土への現地調査に向けても、関係者と密に連絡を取っており、2023年5月にはマーシャル諸島から現地の関係者を招聘する予定も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)マーシャル諸島、ハワイなど、コロナ渦で中断していた現地調査を本格的に再開する。マーシャル諸島政府のもとで設立されている核問題委員会(NNC)と密に連携をとって進める。とりわけ米国との自由連合協定をめぐる交渉が大詰めを迎えており、その現状やその後も見据えた調査を行う。またその研究成果の還元に務める。 (2)今年度は研究成果を社会に本格的に発表する年だと考えている。英書を含め、複数の編著本を出版予定であり、それらの執筆作業を続ける。 (3)アメリカ、カナダなど海外の大学機関に所属する研究者との共同研究を進めて、研究成果をより国際的に発信していく。 (4)マーシャル諸島のみならず、世界各地の核被災と精通している研究者や実務者らとの共同研究を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、2020年度は国内外の調査が実施できず、2021年度は海外調査が予定通り進めなかったため。2022年度より海外調査を一部再開することができたが、2023年度は本格的に再開する予定である。
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