2019 Fiscal Year Research-status Report
流体力学による精子集団遊泳の高精度予測と制御技術の開発
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18K18354
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
大森 俊宏 東北大学, 工学研究科, 助教 (10633456)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 生物流体 / 計算生体力学 / 精子遊泳 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2019年度では，引き続き精子遊泳に関する計算力学モデルの構築を行った．前年度までに分子モータの運動を表現する散逸動力学モデルを開発しており，その知見を基に精子鞭毛の運動を表現する計算力学モデルの構築に注力した．精子遊泳の状態は周囲の力学環境に左右され，特に細胞間の流体力学的干渉が重要となる．本研究では，境界要素法と有限要素法とを連立した計算力学モデルを構築することで，近距離相互作用を高解像度に表現することに成功している．これにより，精子多体干渉問題の解析を行い，特に，準希薄状態での精子運動を明らかにした．準希薄懸濁液では細胞間の二体干渉が特に重要となる．二体の精子が互いに協調して遊泳することで，遊泳速度が最大10%程度向上し，それに伴い遊泳効率も上昇することが明らかとなった．この結果は，精液内の精子数が増えることは，単に受精確率を上げることに留まらず，集団遊泳により効率的な運動を行えることを示唆するものである．現在，これらの結果を取りまとめ，論文発表準備をしている．
また，2019年度では，本計算力学モデルを応用し繊毛虫の遊泳解析も行った．真核生物の繊毛，鞭毛は同じ機構を有しており，本モデルを用いて様々な微生物の遊泳解析を行うことが可能である．繊毛の協調運動であるMetachronal Waveが細胞膜面上で発生することで繊毛虫は平均遊泳速度や効率が向上すること，パラメトリックスタディによる最大効率を得られる波数の同定など，遊泳微生物の力学を明らかにし，それらの結果をJournal of Fluid Mechanicsにおいて発表した．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本計算モデルを応用することで，当初の目的である精子遊泳に留まらず，様々な微生物の遊泳を力学的視点から解析することが可能となり，生物流体力学の発展に寄与できるものと考えられるため．
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| Strategy for Future Research Activity |
前年度では，主に精子間の二体干渉問題の解析を行ってきたが，さらに三体以上の多体干渉問題の解析へと発展する予定である．さらに，精子の走化性など生物学的反応を本力学モデルへと組み込みことで，生物と物理の融合領域研究を推進する．
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| Causes of Carryover |
購入予定のソフトウェアを同程度の機能を持つオープンソフトで代用することが出来たため。差額分はHDDなど計算機周辺機器の拡充に利用し、円滑に研究が遂 行できる環境を整える。
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