2020 Fiscal Year Research-status Report
流体力学による精子集団遊泳の高精度予測と制御技術の開発
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18K18354
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大森 俊宏 東北大学, 工学研究科, 助教 (10633456)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生物流体 / 精子 / 繊毛・鞭毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では,精子と精子の間に働く流体力学的相互作用に着目し,流体干渉による精子遊泳の変化を議論した.この解析を行うため,精子鞭毛の弾性変形と鞭毛周りの流れ場を連立する計算手法を開発し,2体精子の遊泳シミュレーションを行った.その結果,精子と精子が,体長程度の近距離にいる場合,鞭毛運動によって作られる流れ場の変動の効果が大きくなり,単体で遊泳する時よりも1割ほど早く遊泳できることを明らかにした.これは,精子が集まることで素早く遊泳できることを意味し,この協調遊泳の効果は受精競争に有利に働くものと推察できる.これらの結果をPhysics of Fluid誌(Taketoshi et al., Phys Fluids, 2020)に発表,また大学広報を通じてプレスリリースを行った.協調遊泳の効果は,多体になるほど大きくなるものと予想されるため,多体干渉時にどの程度の効果が出るのかを解析していく予定である. 本手法を,繊毛・鞭毛を用いて遊泳する生物運動(繊毛虫の遊泳など)へと一般化し,繊毛運動によって生じる流体粘性散逸,遊泳効率の解析を行った.特に,繊毛の本数と細胞体の大きさとの関係に着目して解析を行ったところ,遊泳効率が最大となる繊毛密度が存在することを発見.得られた最適な繊毛数密度は自然界に存在する微生物との一致しており,この結果は現存する微生物は運動エネルギーを最小化していることを意味する.本研究結果はPNAS誌に掲載された(Omori et al., PNAS, 2020).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
緊急事態宣言に伴う研究の中断期間,各講演会の中止や延期など,新型コロナウイルス感染症関連の問題はあったが,今は研究続行できており研究成果もあがっているため,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
精子多体干渉の問題に取り組み,精子個体数が運動に与える影響を明らかにする.また,今年度は研究期間の最終年度にあたる年であり,研究成果の総括も随時行っていく.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症予防措置につき参加予定の学会等がキャンセルとなり,参加費や出張経費が発生しなかったため.今年度の学会参加費や,データ取りまとめようの周辺機器購入費として使用する.
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Research Products
(5 results)