2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a highly accurate prediction and control technique for sperm population swimming by hydrodynamics
Project/Area Number |
18K18354
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大森 俊宏 東北大学, 工学研究科, 助教 (10633456)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 精子運動 / 生物流体 / 計算力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は精子集団運動を高精度に予測する基盤技術の創成を目指し,流体力学の視点から精子間に働く細胞間相互作用を明らかにする.最終年度である2021年度においては,多数の精子に働く流体相互作用の定量化に努めると共に,変形能や背景流れが,それらの相互作用にどのような影響を与えるのかを議論した. 多数精子が懸濁する精子運動のシミュレーションから,精子数密度によって異なる運動状態が発現することが示された.精子の数密度が十分に高い場合,細胞間の流体力学的相互作用によって細胞の自己集団化が起こり,精子運動に配向性が生まれる.一方で,低数密度条件下においては,このような効果を得られず互いの運動に相関は見られない.これらの結果は,流体相互作用による精子自己集団化を理論的に予測するもので,国内外の学会(Taketoshi et al, The 11th Asian-Pacific Conference on Biomechanicsなど)にて発表し,現在論文投稿準備中である.さらに,環境中の流れが細胞運動へもたらす影響について解析を進めた.細胞運動をより一般化して記述する数理モデルを構築することで,細胞変形の時間スケールと背景流れとの位相差によって,走流性とLateral migrationとが同時に発現する特殊な運動モードが存在することを示した(Omori et al, J Fluid Mech, 2022). 研究期間を通して,流体運動と精子運動との関わりを明らかにした.具体的には精子は流体相互作用によって協調遊泳が達成され,単体遊泳時より高速に遊泳できる事,細胞集団が自己組織化され,それによって粘性散逸エネルギが最小化される事を示した.これらの効果は卵子へ目指す精子の旅を有利に進めるものである.
|