2020 Fiscal Year Research-status Report
消えゆく「数文化」のドキュメンテーション-エスノマセマティックス的視点から
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18K18507
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西本 希呼 京都大学, 森里海連環学教育研究ユニット, 特定研究員 (10712416)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 数の認知科学 / 多様性と普遍性 / 数詞の少ない言語 / 数えるという行為 / 消滅危機言語 / 数の概念 / 数学の歴史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、数詞がない(少ない)言語の観察と分析を通じて、(1)数える行為とは何か、(2)人間はなぜ数えるのか、(3)数える手段や今消えつつある生物資源や身近な道具を用いた数え方の記録を行うことを目的とする。 長年現地調査を行ってきたマダガスカル及び、ルルツ島、ラパヌイ島といったオーストロネシア語圏の島々、奄美大島での調査資料、本研究課題で赴いたオーストラリア及びボリビアでの情報や調査資料を基に、数える行為を中心とした人間の数の概念の多様性と普遍性に着目して通時的・共時的に資料の観察と分析を行った。数詞に加えて、本年度は、オンラインでの調査という例外的な代替処置を行ったが、試行錯誤の元ある程度の参考資料を得ることができ、数の概念に加え、色彩語彙に焦点を当てた、語族や地域を問わず全世界の広範囲にわたって、聞き取りインタビューを行うことが可能となった。本研究の成果は、現在コロナ渦の制限により、様々な作業や着工に影響が出て、作業が何度も中断されているが、「数えない生き方」として単著の書籍を出版することが確定している。本研究の成果の一部は後述するいくつかの国際学会、メディア記事、京都大学の一般公開講座、2021年度の学会懇話会等多方面で成果を公開し、社会へ還元する。また、本研究課題を探求している過程で、「人間の感性とそれを反映する言語表現やコトバの構造」等、新な着眼点や研究課題が見えてきたのも事実である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界情勢を逼迫しているCOVID19による、学術研究への影響は著しい。2020年4月より学術研究のみならず大学での授業のオンライン化やオンライン授業の提供と対面授業と変わらぬ高品質の授業提供とその準備や対応に追われ、前期は研究へさく時間は大幅に減った。後期からは、オンライン化に慣れ、海外学術調査や国際学会発表を含む海外渡航ができなくとも、できる限り手元の資料やWEB上で入手可能なコーパスをもとに分析を行うよう尽力した。さらには、現場でのフィールドワークに比べると、できることは限られているとはいえ、オンラインで、ショナ語、リンガラ語、ドンガン語、ダングメ語をはじめとする20以上の言語話者へインタビューすることが可能となった。2020年度はCOVID19による様々な制限の下でも、本研究課題を遂行するための試行錯誤を十分に行った。しかし、当初予定していた学術調査や大学での研究に大幅に遅れがでたことは否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID1が収束すれば、当然ながら、数詞の少ない言語話者地域へ調査へ行きより良い研究を継続したい。しかしながら、海外調査は当面難しいであろう。そのため、できる限りの文献調査や収集に努める。とはいえ、学術機関の図書館も時短営業であったり学内への入校も自粛せざるを得ない様々なコロナ渦の事情では、当面はこれまで集めてきたデータの分析、手元にある資料の考察、そしてテキストマイニングや電子コーパスに基づいた、主に既存の既に書記化された言語を対象に分析を実施する。これまで文字のない言語を長年従事してきたが、しばらくは古文献資料やテキストデータを分析し、あえて文字のある、書記化されたデータに目を向けることで、最終的には、本研究課題のターゲットとする、数詞のない言、数詞の少ない言語、消滅危機言語や文字のない言語、書記資料のない言語に向き合う機会が再び得れた時、よりよい分析結果やこれまで気が付かなかった視点での考察が可能になると期待する。
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Causes of Carryover |
本研究は、数詞のない(少ない)言語話者地域への現地調査を実施する予定であったが、COVID19による活動制限により渡航が困難となった。最大限の努力と試行錯誤により、コロナ渦でも可能な限りの代替手段での研究や国内でできる調査や過去のデータ分析を行ったが、予定していた国際学会や学術調査や出張が困難となったため、本研究は次年度へと繰り越すこととなった。しかしながらCOVID19の収束には時間がかかるため、当面の間は、本研究課題で予定していた学術調査の実施はとりやめ、文献資料を中心とする分析、テキストマイニングによる現在入手可能な言語データの分析、そして、現代技術や情報技術のなかった、過去の時代の古典文学や歴史資料に残された言語データを中心に本年度は研究を実施する。
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Research Products
(5 results)