2019 Fiscal Year Research-status Report
デジタルヒューマニティーズを促進するオープンデータ環境およびシステム基盤の構築
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18K18508
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石田 栄美 九州大学, 附属図書館, 准教授 (50364815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中藤 哲也 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (20253502)
畑埜 晃平 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (60404026)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | オープンデータ / デジタルヒューマニティーズ / 貴重書のデジタル化 / 研究データサービス / 研究データ管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究データのオープン化のために、図書館で所蔵している貴重書のうち、研究資料として価値が高いと考えられる雅俗文庫、廣瀬文庫の中から79点を選択し、デジタル化した。79点で3561画像となる。順次、IIIFに対応させ、九州大学附属図書館のデジタルコレクションで公開予定である。また、すでにデジタルコレクションで公開されている画像データのメタデータ項目を再確認し、アクセス性を高めるためのメタデータ項目を検討した。検討の結果、試験的に415件に対してメタデータの補完をおこなった。 オープンデータの啓蒙に関するイベントを企画した。オープンデータの流れの中で重要な要素の一つである研究データサービスに関して、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校から3名の図書館職員を招へいし、1.5日にわたるシンポジウム・ワークショップ「大学における研究データサービス」を開催した。シンポジウムでは、研究データ管理計画の作成や研究データをリポジトリに登録する支援など研究データに関してイリノイ大学図書館で実施されているサービスが紹介された。パネルディスカッションでは、日本の大学でオープンデータに通じる研究データの管理をどのように支援をしていけばよいかを議論した。ワークショップでは、学術雑誌におけるデータポリシーやデータキュレーションチェックリスト等の研究データを公開する際に確認するポイント等について、演習や議論をおこなった。 また、デジタルヒューマニティーズの研究の一環として、物体認識に基づいて、くずし字のセグメンテーションと認識を同時に行うくずし字認識法を開発した。この研究成果は文字認識に関するトップ国際会議の併設ワークショップの1つであるHIP2019に受理された。また、提案手法を応用した手法がPRMU研究会のくずし字チャレンジ2019において第4位に入賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オープンデータの啓蒙イベントの企画やデジタルヒューマニティーズの研究の遂行は順調である。特にオープンデータ啓蒙のために企画した「大学における研究データサービス」は日本全国の研究者、図書館職員、学生が参加し、研究データサービスや研究データのオープン化に対して問題を共有し、議論するよい機会となった。論文という形でまとめてはいないが、講演部分は九州大学のYoutubeで一般公開し、配布資料は日本語訳を付け、機関リポジトリにて公開した。また、開催概要や参加記を作成した(所属する専攻の年報に記載)。 デジタルヒューマニティーズの一貫である、くずし字の自動認識については、くずし字のアルゴリズムを競うコンテストである「くずし字チャレンジ2019」で4位に入賞することができた。また、本格的な検討はまだできていないが、図書館職員とともに、九州大学附属図書館のデジタルコレクションの貴重書に付与されているメタデータ項目の再検討にも着手した。 データリポジトリに関してはまだ構築していないが、独自で公開する必要があるのか、既存のサービスを使うのかなども含めて、引き続き、検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
貴重書デジタル画像のメタデータ項目の再検討をさらに進める。所属している大学図書館とも連携しながら、メタデータ項目の再検討の継続や他のデータとの連携などを検討する。また、貴重書のデジタル化についても、図書館の協力を得ながら、引き続き、進める。
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Causes of Carryover |
オープンデータ啓蒙のためのイベントを研究代表者が中心となって企画したが、調整の結果、各組織からの協力を得ることができ、本研究費からの支出の必要がなくなったため、次年度使用額が生じた。これらについては、有効に使用する予定である。特に、資料のデジタル化、メタデータの補完などを積極的に進める。
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[Journal Article] 第23回PRMU研究会アルゴリズムコンテスト実施報告2019
Author(s)
宮崎 智, 桂 尚輝, 長井 歩, 青池 亨, 唐 一平, 鈴木 拓矢, 玉木 徹, 内田 祐介, 西山 正志, 緒方 貴紀, 白井 啓一郎, 中村 和晃, 北本 朝展, カラーヌワット タリン
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Journal Title
電子情報通信学会技術研究報告
Volume: IEICE-119, No.IEICE-PRMU-347
Pages: 41-47