2018 Fiscal Year Research-status Report
診療報酬情報を活用した保険者機能強化方策のためのパイロットモデルの策定
Project/Area Number |
18K18550
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 智章 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (90177460)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正朝 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (00422618)
富塚 太郎 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 特任研究員 (60553394)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
Keywords | 診療報酬情報 / センシティブ情報 / 医療費抑制 / 保険者機能 / 審査支払機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者・加藤は、分析モデルを構築するうえで基礎的な知見となる診療報酬情報(レセプト情報)の収集を行った。具体的にはまず、診療報酬支払基金におけるレセプト電算処理システムについて、支払基金北海道支部の職員からその概要や問題点についてヒアリングを行った。また、本務校での研究会の一環として、国民健康保険部会を立ち上げた。この研究会は、法学研究者以外に、都道府県・市町村職員や審査支払機関、あるいは医療・福祉施設の関係者からなる幅広い人材からなる研究組織である。この研究会のネットワークを通して、審査支払機関の一元化の一方当事者でもある北海道国民健康保険連合会の関係者や道庁職員との意見交換を行った。さらに、保険者機能の検討に関連して、本年3月末をもって解散することとなった人材派遣健保組合を訪問し、解散に至る経緯、事業運営上の課題等についてヒアリングを行った。 分担者・鈴木は、情報法制研究所の代表理事を務める傍ら、個人情報保護法制の立法資料等の収集分析を行った。また、次世代医療基盤法に関して内閣法制局と立法化に向けた検討を開始している。このため、センシティブ情報の範囲を確定し、情報の匿名化を確保しながら、膨大な情報プールから政策決定に必要なデータを合理的に識別・分析する枠組みに関する知見を獲得している。 分担者・富塚は国立研究開発法人国立がん研究センターにおいて、プライマリケアに関する診療および研究活動に従事している。このようなことから、本研究において検討の対象とする疾患として、糖尿病が予防活動から予後までのプロセスとしての検討に適しているとの知見を獲得することができた。 研究組織構成員による全体検討会は開催できなかったが、メール会議を実施し、意見交換情報共有の機会を設け、本研究に関する基本的な方向性については認識の共有化が図られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
代表者、2名の分担者とともに多忙のため、共同研究体制を確立するに至っていない。審査支払機関の一元化に向けた動向や個人情報保護法制等の立法資料については各構成員の専門領域に応じて情報の収集等は進んでいるものの、各構成員の情報を十分に共有することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年3月までの第1期において不十分であったヘルスデータの特定化と個人情報保護法制に関する分析フレームを早急に作成する。 ヘルスデータの特定化については、予防から予後までを通観することのできる疾病を特定し、揃えるべきヘルスデータ項目を選定する作業を行う。個人情報保護法制については、日本を含めたヒアリング対象国における情報収集の手続き、個人情報保護の内容・規制権限、第三者提供に関する規定の内容等を分析する。ヘルスデータの選定については、国によって疾病名が異なることなどにも留意する。分析フレームの作成では、日本も含めた各国に共通する項目と当該対象国に固有の項目とを区分けする。 この作業と併行して、ヒアリング対象国(主に、韓国、フランス、ドイツを想定している)を特定し、ヒアリング項目を選定する。ヒアリング調査については、研究代表者の築いてきた人的ネットワークを有効に活用し効果的・効率的に実施する。研究組織内でヒアリング内容の共有化を図るとともに、ヒアリング項目の見直しを行う。また、社会実装を念頭に置いたパイロット(分析)モデルの作成に着手するため健康保険組組合(医療保険保険者)との意見交換を行う。
|
Causes of Carryover |
本研究が採択されてから比較的早い段階で、研究会合開催の日程調整が困難であることが明らかになったため、情報の共有化にはメール会議を代用し、研究分担者それぞれのテーマに関する知見の整理を先行させることとした。このため、初年度に予定していた旅費を節約することができた。また書籍については、新たな研究領域であるため本研究に則した文献が少ないことから、発注それ自体が進展しておらず、購入予算を残すこととなった。 今年度は年度開始早々から全体研究会を実施することとしており、年度を通して研究会合を頻繁に行う予定である。研究会を通じて購入すべき書籍・文献情報を交換し、それらの購入に努める。併せて、研究組織の構成員の人的ネットワークを共有化し、各研究領域の専門家から幅広く情報収集を行うこととし、次年度使用額を活用してこの作業を進展させたいと考えている。
|
Research Products
(6 results)