2021 Fiscal Year Annual Research Report
The impact of Kurdish actors to stability/ instability of international order
| Project/Area Number |
18K18560
|
|---|
| Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
|---|
Principal Investigator |
今井 宏平 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 研究員 (70727130)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 英之 立命館大学, 政策科学部, 授業担当講師 (10755466)
廣瀬 陽子 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (30348841)
青山 弘之 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60450516)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
|
| Keywords | クルド人 / 非承認国家 / トルコ / シリア / イラク / イラン / PKK / 北イラク地域政府 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、国家をもたない世界最大の民族と言われ、イラク、イラン、シリア、トルコに跨って居住しているクルド人に注目し、クルド人の非政府主体が現在の国際秩序に与えるインパクトを検討する。
本研究は研究目的達成のために実証分析と理論分析の2段階で検証を実施した。実証分析に関しては、イラク、イラン、シリア、トルコにおけるクルド人の活動に関する詳細な分析、そして武装組織の実態、紛争解決に向けた手段、そして紛争後の和解に至るプロセスに関する分析を行なってきた。また、国際関係論、政治学、社会学の理論もしくは概念を実証研究のために掘り下げた。
2021年度は、これまでの成果を『クルド問題：非国家主体の可能性と限界』（岩波書店、2022年）という形で世に問うことができた。本書では実証分析と理論分析を統合し、クルド民族主義組織の実態について明らかにした。まず第１章では今井・青山・吉岡がクルド民族主義組織のリーダーについて素描した。第２章で吉岡と廣瀬が北イラク自治政府を非承認国家論の観点から分析した。第３章では青山と阿部がシリアのクルド人組織を移行期正義の観点から検討した。第４章では今井と岡野がトルコのPKKに関して、暴力組織論の観点から、特にリクルートに焦点を当て分析した。第５章では今井と辻田がイランのクルド人組織を力の非対称性の概念を活用し、そのイラン政府との関係を概観した。
本研究はクルド問題に関して日本での研究状況を前進させることを念頭に置いてきたが、『クルド問題』を刊行することでその目標は達成できたと考えている。
|
