2019 Fiscal Year Research-status Report
ラボラトリーマネジメントの経営学的実証研究-理系大学院研究室の制度と文化の解明-
Project/Area Number |
18K18561
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷口 勇仁 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (60313970)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 智 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (00232679)
小田 寛貴 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 助教 (30293690)
平本 健太 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (00238388)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
Keywords | ラボラトリーマネジメント / 大学院理系研究室 / PI / リーダーシップ / 組織文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,大学院理系研究室のマネジメント,すなわち「ラボラトリーマネジメント」について,大学院理系研究室を対象とする詳細な実証分析に基づき,効果的なラボラトリーマネジメントを解明することを目的とする.本研究は3ヶ年計画で実施され,第2年度にあたる2019年度の研究実績の概要は以下の3点である. 第1に,大学院理系研究室の組織構成員に対し,研究室の運営(研究室の制度,文化,リーダーシップ)に関するインタビュー調査を行った.前年度に明らかになった理論研究室と実験系研究室のラボラトリーマネジメントの違いが明らかになったため,ラボラトリーマネジメントがより重要であると考えられる実験系研究室に焦点を当てて研究をすすめることとした. 第2に,ラボラトリーマネジメントに関連する文献ならびに各種資料をサーベイし,PIのリーダーシップと学生のモチベーションとの関係について検討を行った.特に,学生の研究に対するモチベーションを「リサーチ・モチベーション」と位置づけ,リサーチ・モチベーションを高めるPIのリーダーシップ行動について検討を行った.Deciのアンダーマイニング効果などを参考にしながら,学生が,「研究は労働であり,卒業する対価として研究活動が行われている」として解釈してしまうことの危険性が明らかになった. 第3に,現在理系大学院研究室に所属している組織構成員(教授,准教授,助教,PD,博士学生)を対象に,ラボラトリーマネジメントに関する研修を2回実施した.研修後に,受講者から①研修の内容,②ラボラトリーマネジメントに関する課題についてフィードバックを得た.様々な課題が提示されたが,PIは,修士(博士前期課程)で卒業する学生と博士(博士後期課程)に進学する学生との間のマネジメントの違いに難しさを感じていることが確認できた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が2020年4月に大学を異動することになったため,異動に付随する業務が重なり,PIへのインタビュー調査・ラボラトリーマネジメント研修の実施および学会報告・論文投稿が予定通りに進まなかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,ラボラトリーマネジメントの課題として,2019年度に明らかになったように,PIのリーダーシップ行動に注目していく必要がある.2020年度は以下の3点の作業に注力することを予定している. 第1に,ラボラトリーマネジメントに適した経営学の理論を探索することである.特に,PIは「リサーチ・モチベーション」に関心が高いことが明らかになったため,リサーチ・モチベーションを高めるリーダーシップ行動に注目している. 第2に,理系大学院研究室に所属している組織構成員(教授,准教授,助教,PD,博士学生)を対象に,ラボラトリーマネジメントに関する研修を行い,フィードバックを得る予定である.ただ,COVID-19の感染拡大に伴い,予定していた研修がキャンセルされる可能性も存在する. 第3に,研究成果を「環太平洋国際化学会議2020 (Pacifichem 2020)」において,報告する予定である(現在申請中).可能であれば,他国の研究者とも交流し,各国のラボラトリーマネジメントの状況・課題について意見交換を行う予定である.
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,研究代表者が2020年4月に大学を異動することになったため,異動に付随する業務が重なり,PIへのインタビュー調査やラボラトリーマネジメントの研修の回数を減らしたことが原因である.最終年度である2020年度は,早いうちに研究体制を整え,共同研究者と密接に研究打ち合わせを行いながら,計画的に研究を進める予定である.
|