2020 Fiscal Year Annual Research Report
Economic elucidation of the sake industry Towards the construction of Sakenomikusu
Project/Area Number |
18K18575
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
阿部 顕三 中央大学, 経済学部, 教授 (00175902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 貴教 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (50515153)
花薗 誠 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (60362406)
大湾 秀雄 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60433702)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 日本酒産業 / 酒造組合 / 輸出能力 / 代替関係 / 不完全競争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、サケノミクスの構築に向けて次の3つの研究を進めた。 第1に、酒蔵および酒造組合・卸売団体からデータの収集や所在の確認を行った。酒造組合の役割として、原材料斡旋・共同購入、瓶詰工場共同保有などで製造原価の引き下げを支援するとともに、多数の酒蔵を共存させて味の多様性を維持することなどがあることが分かった。また、輸出能力がパートナー(インポーター、ディストリビューター)の質に依存しており、酒蔵側とパートナーのマッチングがどのように決まっているのかを明らかにすることが重要であることを指摘した。 第2に、日本酒、ワイン、ウィスキーという3品目の、2010年6月最終週から2011年12月最終週までの週別販売総額における比率の週別推移のデータを用いて分析を行った。11月中旬(ボジョレー解禁)と12月最終週(クリスマス)以外の時期は、この3品目の販売額の総計に占める日本酒の比率は50%前後で推移しているが、これら2つの時期には日本酒とウィスキーの比率は低下し、ワインの比率が増加している。逆に、年末年始の時期には、ワインとウィスキーから日本酒へのシフトが観察された。そこで、日本酒とビールとの間には明確な代替関係はなく、日本酒に関しては、ワイン、ウィスキー、焼酎との季節的要因による代替関係が存在する点が明らかになった。 第3に、不完全競争の理論モデルを用い、需要の低下が市場構造にもたらす影響を分析した。需要の低下により、企業の生産する差別化された財の種類は大企業、小企業ともに縮小するが、市場シェアを見ると、1種類の財を生産するのに必要な固定費用が小さい企業群の市場シェアが拡大することが理論的に示された。競争圧力にさらされている小企業よりも大企業の縮小割合が小さい場合には、市場支配力の強い企業がより大きなシェアを持つことから、消費者余剰に負の影響を与える可能性があることが示された。
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