2018 Fiscal Year Research-status Report
Correlation between English Ability Improvement and Education Programme: Statistical Analysis based on Large Scale Data
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18K18652
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西谷 元 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (80208181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 慎治 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (00346529)
川田 恵介 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40622345)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 海外留学プログラム / 異文化適用 / 異文化需要 / 客観的測定 / TOEIC / 英語教育 / 英語力 / コンピテンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
TOEICにより測定される英語の語学力に与える因果効果の推定を試みた。広島大学では、在学中に年2回、TOEICを無料で受験する機会が存在し、総学生数の半数に当たる約7,500人が毎年受験している。留学の効果を推定するもっとも単純なアプローチとして、派遣された学生とそれ以外の学生のTOEIC点数を比較する、あるいは留学前後の点数比較を行うことが考えられる。しかしながら派遣された学生は、語学学習への意欲やもともとの語学力などが、他の学生とは大きく異なっている可能性が存在する。また留学前後比較においても、留学前である1年時に比べて、留学後である2年時以降では、語学のクラスを受講した経験など、大きな違いが存在する。このため単純な比較のみでは、留学の因果効果を推計することは困難である。 このような問題に対処するために、分析対象をSTARTプログラムへの応募者に限定した。さらに学内の関係部署との交渉の結果、学生の所属学部やコース、性別や成績、STARTプログラムへの当/否を決定するために実施された書類・面接選考時の素点、さらにはセンター試験の点数も統計分析に使用可能となった。これらの豊富な変数をコントロール変数として用いることで、より信頼性の高い推計が可能となる。 分析の結果は、STARTプログラムは、英語力を向上させる因果効果を有することを強く示唆するものとなった。プログラム参加者は、非参加者に比べて、TOEICの点数が大きく伸びており、統計的な誤差の範囲を超える明良な差が存在した さらに読解問題と聞き取り問題、各々への効果も推定したところ、聞き取り問題の点数をより改善することが示された。これは短期留学というSTARTプログラムの特性を考えると、自然な結果であると考えられる。より興味深いのは、読解問題の点数についても弱いながらも正の因果効果が推計された点にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
語学に関連する大規模データを収集(3万件以上)するとともに、語学力上昇に関連する可能性のある他の教務上データ(入試データ、留学結果に関する心理学テストの実施結果など)を収集することができ、英語力の上昇・変化との相関関係の分析に取り掛かることができた。 また、暫定的な研究成果を、日本経済学会、CREA、APAIEなど学会で発表するとともに、公刊論文を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、データを収集するとともに、より強固な統計的因果推論や機械学習等の手法を応用した新しい分析を実施する。
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Causes of Carryover |
年度末に出張を計画していたが、他経費による長期出張が入ったため、出張計画を変更し未使用額が生じた。次年度には、海外学会での発表のための海外旅費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)