2019 Fiscal Year Research-status Report
観光行動における歩くことの心理過程と自己過程に関する研究
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18K18691
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岡本 卓也 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (30441174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 幸史 大阪国際大学, 人間科学部, 准教授 (10567621)
速水 香織 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (60556653)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 道 / 歩くこと / フットパス / ロングトレイル / お遍路 / 森林浴ウォーキング / 観光行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,旅や観光においてなぜ人は歩くことを求めるのか,「道(街道・巡礼路・footpath・登山道)」を歩くことには,どのような心理的機能があるのかを明らかにする事であった。本年度は,主に以下の5点について研究を行った。 (1)フットパスの取り組みの実態を明らかにするため,国内での先進的取り組みを行っている黒内松町フットパス管理者および日本フットパス協会の関係者に面接調査を行った。またフットパス周辺の地域住民に対して,フットパス事業の評価に関する聞き取り調査を実施した。 (2)四国遍路の徒歩巡礼者に対して,巡礼行動の動機および巡礼中の心的変化,人生移行における意味についての聞き取り調査を行った。また,四国の遍路道の接待小屋の運営者に対して,接待の動機や,接待をすることで得られる心的効果について聞き取り調査を行った。また,接待文化が地域のソーシャルキャピタル形成に与える影響について調査を行った。 (3)フットパスやロングトレイルへの参加経験についWeb調査を行った。具体的には,歩行者としての参加経験や管理者側としての経験について,過去の旅行経験や観光熟達度,旅のリピート行動との関連について調査を行った。 (4)フィンランドにおける森林浴ウォーキングプログラムについて,施設管理者およびツアーガイドにその動向や利用者について面接調査を行った。 (5)イギリスのフットパスについて,その利用実態や近隣住民による管理の在り方について調査を行った。また,ロンドンで近年整備されつつある,ロンドン近郊のウォーキングルートおよびそのツアープログラムについての調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度を上記のように評価した理由は、次の通りである。 当初計画ではR1年度に実施する計画であった山行者を対象とした調査については,時間的制約から実施することが出来なかった。一方で,イギリスのフットパス事情については,当初の計画以上に調査を進めることが出来た。フットパスに関する調査の中で,本研究テーマと密接に関係するロンドン近郊でのウォーキングプログラムの流行やその整備に関連する資料を収集することが出来た。また,フィンランドにおける森林浴ウォーキングについての詳細を調査することが出来たため以上のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は次の通りである。 (1)イギリスにおけるWalkers are Welcomeに関する調査での事例を詳細に検討し,日本でのフットパス導入に伴う地域活性化のメカニズムについて明らかにする。 (2)巡礼者,フットパス利用者,ロングトレイル利用者への面接調査や質問紙調査を実施し,その心理的機能の相違点,共通点について検討する。 (3)自動車で観光地間を移動するスポット観光者と,徒歩移動を中心とする観光者の間で,観光旅行中に経験する感情変化や,ストレスの変化について,活動量計による生理指標,唾液中ストレス値の測定を行い,PEN-A(Okamoto,2011)によって環境知覚の変化を詳細に検討する。 ただし,いずれの調査においても調査対象者を必要とする研究計画のため,COVID-19の流行状況によっては,大幅な研究計画変更の可能性がある。その場合はWebによる調査などに変更する。
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Causes of Carryover |
当初計画に比べて必要な物品が安く購入できたこと,および,研究代表者の在外研究に伴い,研究メンバー間の打ち合わせをWeb会議を利用したことにより旅費の利用が減ったため次年度使用額が生じた。 使用計画については,次年度使用額とR2年度請求額とを合わせて,調査対象者を拡充した調査を実施する予定である。
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Research Products
(10 results)