2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K18694
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平松 千尋 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (30723275)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 色 / 見ための温かさ / 色覚多様性 / 生理学的制約 / 時間帯推定 / 2色覚 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
人は色と温かさを結びつける特性を持つことが一般的に知られており、赤から黄にかけては暖色、青領域は寒色とカテゴライズされる。しかし、この対応が、どのように生じるのか、また個人間の共通性と多様性については、未解明な部分が多い。そこで、この特性の共通性と多様性ついて、生理学的要因と社会的要因の両者から検討することを目的に、多様な色覚を持つ人々を対象として、様々な年齢層で調査してきた。その結果、どの色覚を持つ人々も、発達に伴い、多数派の色覚である3色覚成人の結び付けに近づいていくという共通性を持つことが明らかとなった。ただし、少数色覚者の中で色覚特性をさらに細分化した場合、個人の生理学的要因が比較的強い影響を与えている事例も見られ、生理学的多様性も貢献していると考えられた。さらに少数色覚の調査数を増やすことを試みたが、新型コロナウィルス感染症拡大防止措置のため、対面での実験が困難となった。また、本研究期間中に、海外調査によって、文化規範の違いによる多様性を探ることは困難であることから、研究方向の転換を試みた。 本年度は、色と温度の対応付けや時間帯推定には、日中の太陽光の色変化が関連しているという仮説を立て、画像評価や機械学習を用いることにより、どのような色の特徴量が時間帯推定に重要であるかを調査した。その結果、多くの地上性哺乳類で保存されているS錐体とL/M錐体による2色覚が有する青黄軸の色情報が、時間帯推定に重要であることを示唆する興味深い知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究でこれまでに得られた知見を基に、少数色覚の参加者数を増やすことが望まれたが、新型コロナウィルス感染症拡大防止措置のため、対面による研究実施が難しく調査数の増加による研究の精緻化は困難であった。また、文化規範の影響について、当初は海外の異なる文化圏における色と温度の関連付け調査を試みる予定であったが、こちらもパンデミックの影響による海外渡航制限のため本研究期間内での実施は断念した。 そこで、色と温度の対応付けや時間帯推定には、日中の太陽光の色変化が関連しているという仮説を新たに立て、人や機械が様々な時間帯に撮影された風景写真から時間帯を推定できるかを調査することにした。画像評価や機械学習を用いることにより、当初計画にはなかった新たな知見が得られたことから、一定の進捗が見られたと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては、これまで得られたデータおよび知見を整理し、研究成果としてまとめることに重点を置く。当初計画における色と温度の関連付けの要因については、可能であれば、少数色覚の児童に対する対面調査を、感染症拡大防止措置を十分に講じながら進める。また、文化規範の影響については、海外の共同研究者らと今後の調査計画を立てる。 昨年度新たに設定した、機械学習による時間帯推定課題の調査においては、多くの哺乳類が共有する2色覚で得られる色の特徴量が、時間帯推定に有効であるという興味深い知見が得られたことから、詳細な検討事項を精査しながら、研究成果としてまとめる。
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Research Products
(1 results)