2019 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical research for psychological modeling of energy-saving behavior including values
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18K18896
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鳴海 大典 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (80314368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 彩美 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 講師(任期付) (80830603)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 省エネルギー / 価値観 / 心理モデル / 理論研究 / きっかけ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.昨年度末に首都圏在住の親子2世代世帯を対象に実施したウエブ調査の結果(有効サンプル数は1579件、電力を用いた場合は1362件、ガス1060件)を用いて分析を行った。結果として、社会的価値観である[自己超越]は省エネルギー行動意図を高める一方で、実践度には個人的価値観のうち[変化への開放性]が影響していることが明らかになった。またエネルギー消費量への影響は元来影響要因として知られている世帯属性が最も強く、本研究で着目した価値観やエネルギー意識の中でもより内的な動機となる価値観や信念は行動まで影響し得ていないという結果となった。ここからは行動意図と実践の乖離を埋めるには、社会的価値観[自己超越]に加えて、行動に対してオープンで、かつ主体的に考え、行動していく志向[変化への開放性]の醸成が重要であるという環境教育や政策への示唆が得られた。 2.価値観とエネルギー消費行動との関係を質的な側面から洗い出すことを目的として、フォーカスグループディスカッション(以下FGD)を行った。上記のウェブ調査回答者の中から30代~40代で夫婦+子どもが2人程度(小学生以上高校生まで)の世帯を中心に参加者を選定し、1グループ6名×男女別に各2グループ、合計4グループ(24名)で行った。家族間の価値観の相互作用(妻と夫の力関係、家族(子どもの個室、生活リズム)の過ごし方等)、また「省エネのきっかけ」として、例えば同じメディア情報を見たときの反応や、省エネ意識向上や行動変容に影響する事象の違いなどを聞き取ることができた。 3. FGDの結果を受けて、当初の計画にはなかったが省エネのきっかけについてもう少し広く調査をしてみることが理論化の考察に役立つと考え、2020年3月に省エネのきっかけに関する量的調査を実施した。上記1のウェブ調査の回答者から875件の回答を得た。今後分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度末に実施したウェブ調査の分析を中心に進め、この調査で対象とした首都圏在住の親子2世代世帯に関する価値観の省エネルギー意識や行動に対する影響については、量的調査の大部分の分析を終えている。また、9月にはフォーカスグループディスカッションを実施することができた。ただし、フォーカスグループディスカッションの結果、省エネのきっかけについて追加的に量的調査を実施することとしたため、その分当初2年度目に実施予定であった個別調査の実施については遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目に追加的に実施した量的調査の分析を進め、省エネ意識向上や行動変容に影響する(あるいは意識向上にはつながっても行動変容には至らない)きっかけの事象についての知見を深める。追加調査は1年目に実施した価値観調査の対象者に追加的に実施しているため、分析過程においては価値観の違いによる省エネ意識や行動変容への影響も分析する。それらの結果を生かして上半期中には個別調査を実施し、総合的な考察に繋げたい。
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Causes of Carryover |
追加の量的調査を実施したため個別調査の実施が遅れており、この調査の調査対象者のリクルート委託費や謝金等が予定よりも下回っていることによる。次年度には確実に個別調査を実施し、また研究の成果を引き続き国内外での学会発表に加えて、査読論文としても発表していく予定であり、これに伴う経費が発生する予定である。
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Research Products
(11 results)