2020 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical research for psychological modeling of energy-saving behavior including values
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18K18896
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鳴海 大典 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (80314368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 彩美 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 講師(任期付) (80830603)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 省エネルギー / 価値観 / 心理モデル / 理論研究 / きっかけ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に実施したフォーカスグループディスカッションの結果を受けて,当初計画にはなかったが省エネのきっかけについてもう少し広く調査をしてみることが理論化の考察に役立つと考え,省エネのきっかけに関する量的調査を実施した.本年度は主にこの調査データ解析に取り組んだ. 調査目的は省エネルギー行動を促すきっかけに対する重要度認知を用いて,個人特性によるきっかけの意識と行動への影響度,行動意図・実践度関係を検討することである.調査は2020年3月に調査会社を通して首都圏(東京,埼玉,神奈川,千葉)在住の親子2世代家族を対象に行った.有効回答数は668件であった. その結果,省エネルギー行動を促すきっかけごとの重要度認知について,重要度が高いと回答した人が多いきっかけ項目はメディアからの情報や光熱費管理であった.属性影響に関して,高年齢や女性がメディアを重要視し,女性は省エネ行動まで結び付く人が多いことが示された.また,省エネ行動まで結び付く人は生育期に自然や動物・生き物の関心が高く,環境問題や省エネルギー問題の知識の主観的評価も高いことがわかった.人々の価値観では省エネ行動まで結び付く人は意識変化のみの人より[変化への開放性][自己超越][保守性]の価値志向が強いことが示された.また,きっかけに着目すると[非メディア]を重視する人は「変化への開放性」の価値志向が,[メディア]を重視する人は「保守性」の価値志向が強く差も大きい結果が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は申請当初の予定にはなかったが省エネ行動のきっかけについて深堀りする調査を実施し,貴重な知見が得られた.しかしこの調査を追加的に実施したこと,また,コロナ感染症の影響もあり,個別調査については遅れが生じることとなった.2020年度末には,コロナ感染症の影響下でも実施可能な形(戸別訪問によるエネルギー計測などを除いた内容)に変更し,省エネ行動のきっかけと価値観形成の関係をより深く探るための個別調査(インタビュー)を行うことができたが,総合的な考察をまとめるには至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度末には,コロナ感染症の影響下でも実施可能な形(戸別訪問によるエネルギー計測などを除いた内容)に変更し,省エネ行動のきっかけと価値観形成の関係をより深く探るための個別調査(インタビュー)を行った.次年度はそれらの分析を進めるとともに,2年度目に実施した省エネ行動のきっかけに関する量的調査の結果双方を踏まえ,低炭素社会構築に向けたエネルギートランジッションに資する,生活価値観と結びついたヴィジョニングワークショップを行いたいと考えている. それらを踏まえて人々の価値観と省エネや低炭素社会構築に対する総合的な政策提言に結びつけたい.
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ禍により当初予定していた個別調査(戸別訪問によるエネルギー計測を含む調査)の実施のタイミングを計っていたため,研究実施計画に遅れが生じることとなった.最終的には今後も不透明な状況が続くことは避けられないと判断し,上記7の通り,個別訪問を除いた形の調査(オンラインインタビュー)に変更して実施した. また,価値観分類と省エネ行動のきっかけには明確な違いがみられるという量的調査の結果を踏まえ,かつ,2020年秋の政府によるカーボンニュートラル宣言を受け,低炭素/脱炭素社会の構築に価値観の影響が重要性を増すことも考えられる.そこで,個別訪問を縮小した分で価値観優先度とビジョニングを結びつけたワークショップを予備的に行った上で,これまでの結果を総括した総合的な考察を行いたいと考えている.また,それらの結果を査読論文として発表していく.
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Research Products
(15 results)