2019 Fiscal Year Annual Research Report
Manipulation of Self-Assembly by Vibrational Excitation
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18K19085
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平井 健二 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (10754400)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 振動強結合 / ラビ分裂 / 多孔性配位高分子 / 結晶化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、溶媒分子の振動強結合を利用し、結晶化を含む自己集合現象の制御を目的としている。2年目は光共振器を用いて、溶媒分子である水分子の振動強結合状態をつくり出し、多孔性配位高分子(MOF)の結晶化に与える影響を検討した。 まず、亜鉛イオンと2-メチルイミダゾールを含む水溶液を、光共振器の中に導入した後、赤外吸収スペクトルの測定を行った。溶媒である水分子のOH伸縮振動と共振器モードの準位が一致した時に、OH伸縮振動が強結合状態となり、エネルギー準位の分裂(ラビ分裂)が観測された。この状態で、溶液を静置すると、自己集合が進みZIF-8の結晶が得られた。一方、同様の水溶液を光共振器を用いずに静置すると、ZIF-LとZIF-8の混合物が得られる。このことから、光共振器中で結晶化を行うことで、ZIF-8 が選択的に生成することが示唆された。 光共振器として機能しない閉鎖空間で溶液を静置した場合でもZIF-L とZIF-8 の混合物が得られた。また、光共振器として機能しない1 枚の反射ミラーの上で結晶化を行った場合においても、ZIF-L とZIF-8 の混合物が得られた。このことから、閉鎖空間や反射ミラーの表面の影響ではなく、光共振器中でのOH 伸縮振動の振動強結合が選択的な結晶化に影響していることが示唆された。ZIF-LとZIF-8は同一の構成要素から組み上がる配位高分子ではあるが、配位構造が異なる結晶疑似多形である。振動強結合により、選択的な結晶化が可能であることが示唆された。
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Research Products
(8 results)