2019 Fiscal Year Annual Research Report
Fecal pellets of tridacnine clams may fundamentally support coral-reef ecosystem
Project/Area Number |
18K19232
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小池 一彦 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (30265722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 洋 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 西海区水産研究所, 主任研究員 (00583147)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | シャコガイ / 褐虫藻 / ウスエダミドリイシ / 共生ソース / Symbiodinium / Cladocopium / サンゴ礁 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに,ヒメジャコの糞の中には高い光合成活性を持った褐虫藻が多量に含まれ,それがシャコガイの幼生に感染可能であることを明らかにしてきた。当年度は,この「糞を介した褐虫藻の感染」がサンゴ幼生においてもあてはまるのかを検討した。 2019年5月の石垣島でのサンゴ一斉産卵時に現地に赴き,ウスエダミドリイシのプラヌラ幼生を得た。三日齢の幼生50個体づつを容器に入れ,3個体のヒメジャコガイから得た糞粒を3区に分けサンゴ幼生に与えた。コントロールとして,濾過海水のみで飼育,もしくは,サンゴ幼生と共生することが確認されている褐虫藻培養株を与えた区も用意した。糞粒,培養株とも毎日,3日間与えた。投与開始から8日後に全幼生を回収し,共生率・共生細胞数,共生褐虫藻の遺伝子系統解析を行った。 実験を通して,褐虫藻を与えなかった濾過海水区では共生は認められなかったが,その他の全区において投与開始から3日目に既に共生が確認された。8日目は共生ソース(糞,培養株)の添加を停止して5日間経過しているが,3日目よりも幼生あたりの共生細胞数は増加した。このことは,取り込まれた褐虫藻が幼生内で共生維持されていることを示す。糞中の褐虫藻はSymbiodinium属とCladocopium属がおよそ85%:14%の比で含まれていたが,幼生に取り込まれたのはほぼ全てがSymbiodinium属で,別途Symbiodinium属とCladocopium属の培養株を同比率で与えた実験区においても,94%がSymbiodinium属で占められた。 以上のことより,シャコガイ同様に,サンゴ幼生もシャコガイの糞を介して褐虫藻を共生させること,取込・共生過程は選択的であり,Symbiodinium属を優先して認識している可能性があることが示された。
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Research Products
(9 results)