2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of novel CO2 transport mechanism contributed by biogenic polyamines
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18K19237
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
安元 剛 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (00448200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安元 加奈未 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (70412393)
安元 純 琉球大学, 農学部, 助教 (70432870)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | ポリアミン / 石灰化 / CO2 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリアミンは全ての生物の細胞内に普遍的に含まれ,分子内に複数のアミノ基を有する低分子化合物の総称である.本研究では,研究代表者が発見したポリアミンとCO2の高い親和性という化学的性質から「生体内でもポリアミンがCO2濃縮に寄与し,海洋生物の石灰化反応,光合成の促進,および生体内のpH調整に寄与している」との仮説を立証するため以下の3項目を柱に研究を行っている.1)生体内ポリアミン‐CO2結合体(カルバメイト体)のNMRを用いた検出,2)ポリアミン生合成および輸送体阻害剤がサンゴ稚ポリプの石灰化部位のpH上昇に及ぼす影響,3)高CO2条件でのポリアミンによる石灰化反応と海洋生物の石灰化速度の相同性の検証である. 1)生体内カルバメイト体をインセルNMR法によって検出するための条件検討を,シアノバクテリア,大腸菌などを用いて行っている. 2)ポリアミン生合成阻害剤およびポリアミン輸送体阻害剤が稚サンゴの石灰化部位のpH上昇に及ぼす影響を調べたところ,ポリアミン輸送体阻害剤を添加した際に,pH上昇が有意に低下することが分かった. 3)ポリアミンによる石灰化反応と稚サンゴの骨格形成(石灰化)を大気圧, 0.5, 1%CO2条件で比較した結果,0.5と1%CO2では同じく石灰化が阻害された. これらのことから,ポリアミン輸送体が稚サンゴの石灰化において重要な役割を果たしていることが示唆される。また,高CO2条件でのポリアミンによる石灰化反応と稚サンゴの石灰化速度には高い相同性があることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2)の項目であるポリアミン生合成および輸送体阻害剤がサンゴ稚ポリプの石灰化部位のpH上昇に及ぼす影響では,サンゴ石灰化母液内のpHイメージング法の構築と,蛍光試薬によるポリアミンの半定量に成功した。3)の項目では高CO2条件でのポリアミンによる石灰化反応と稚サンゴの石灰化速度に高い相同性があることが明らかにすることが出来た.1)の項目では,本格的に条件検討を始めたところで,測定結果を得るには至っていない。以上のことから,本研究はおおむね順調であると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
1)の項目である,生体内カルバメイト体のNMRを用いた検出法を中心に行っていく予定である.まず,細胞内のポリアミン濃度が高い,バクテリアを用いて検討する.培養条件,NMR測定条件などを検討する予定である.2)稚サンゴのポリアミン輸送体の特定を試みていく.3)稚サンゴ以外で異なるCO2条件下で骨格形成速度を検討していく.
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Causes of Carryover |
挑戦的研究(萌芽)は,採択と交付が遅いため,申請者が所属する機関では交付まで研究費の使用ができず,当初計画していた稚サンゴの産卵時期が過ぎてしまい,自己資金でサンプリングを行ったために旅費が少なくなった.次年度は計画どおり稚サンゴのサンプリングに使用する予定である。
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Research Products
(8 results)