2018 Fiscal Year Research-status Report
A role of MYCN in neurodevelopment and in a novel syndrome
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18K19524
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
齋藤 伸治 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00281824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 久史 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30375513)
永田 浩一 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 神経制御学部, 部長 (50252143)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 巨脳症 / MYCN / 神経発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
巨脳症、特異顔貌、指趾異常(両側多指症)、神経芽腫を示す患者を対象として全エキソーム解析を実施し、MYCN遺伝子にde novoのミスセンス変異(c.173C>T; P.Thr58Met)を同定した。変異の意義を明らかにするために、HEK293T細胞に変異蛋白を発現させたところ、T58のリン酸化が変異体では消失していた。T58のリン酸化はMYCNのユビキチン化による分解に必須のリン酸化であり、変異によりT58リン酸化が失われることで蛋白分解が障害され、変異蛋白が蓄積することが予想される。そこで、マウスから樹立した神経幹細胞を用いて、変異蛋白の安定性を調べたところ、変異蛋白では安定性が増加し、さらに、下流のCCND1およびCCND2の発現が増加していることを明らかにした。CCND1およびCCND2の機能亢進は既存の巨脳症の原因であることが知られている。したがって、患者に同定された変異はMYCNの安定性を亢進することで、下流遺伝子の発現増強を介して巨脳症を引き起こすことを明らかにした。 さらに、野生型MYCNと変異型MYCNを子宮内胎仔脳遺伝子導入法によりマウス脳に導入したところ、どちらも神経細胞の増殖を促進することを明らかにした。この結果は変異MYCNが機能を維持していることを示す。これらの結果から、患者に同定された変異は機能亢進型変異であり、MYCNの機能亢進型変異が新規巨脳症症候群の原因となることを世界で初めて明らかにした。同時に、野生型MYCNおよび変異型MYCNをマウス発生期の脳で過剰発現させたところ、神経細胞の遊走が障害され、MYCNは神経細胞の遊走においても重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者に同定した変異の機能解析を細胞生物学的および、子宮内胎仔脳遺伝子導入法のin vivoの系を用いて実施し、この変異が機能亢進型変異であることを解明した。さらに、そのメカニズムとして、ユビキチン蛋白分解に必須のリン酸化部位の障害であり、その結果蛋白安定性が増加すること。その結果、下流の遺伝子発現が増加すること。さらに、変異蛋白のin vivoにおける機能が維持されていることを示すことができ、機能亢進のメカニズムを解明することができた。これまでにMYCNの機能喪失型変異はFeingold小頭症症候群の原因となることは報告されていたが、機能亢進型変異が巨脳症を示すことは報告されていいず、今回の結果が世界初の報告である。患者に同定された変異の機能を解明できた点で、当初の計画は達成できたと考える。 同時に、CRISPR/Cas9を用いたMYCNのノックインマウスの作成に取り組んでいる。患者変異を導入したF0マウスを得ることができ、現在F1マウスの作成を行っている。しかし、現時点ではまだF1マウスは得られていず、引き続き作成を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
RISPR/Cas9を用いたMYCNのノックインマウスについてはF0が得られ、野生型との交配を行っているが、現時点ではF1は得られていない。引き続き交配を進めて、F1マウスを得る作業を続ける。F1が得られた場合は、得られた変異マウスの中枢神経の評価を形態学的、遺伝学的、生化学的に評価する。すなわち、Myncの発現、下流のCcnd1、Ccnd2の発現を評価する。同時に、ヒト患者で見られた指趾の発生異常の有無、神経芽腫の発生の有無を評価し、モデル動物としての特徴を評価する。 変異マウス特異的な異常が明らかになれば、これらの症状を対象として、種々の薬剤による効果の評価を行い、創薬のための基礎実験を行う。特に、mTOR経路の関与の程度を明らかにするために、mTOR阻害剤の影響を評価する。 これまでの研究により、MYCN変異解析および機能解析の系を確立した。ヒト患者において巨脳症、指趾異常、神経芽細胞腫を示す患者を全国から集積し、変異解析と機能解析を行い、MYCN機能亢進により起こるヒト病態の解明を行う。患者集積に当たっては、学会などでMYCN変異例についての発表を行い、広く全国から患者を集積する。 このように、モデルマウスを使った病態研究と患者集積によるヒトにおけるMYCN関連症候群の全体像の解明とを両輪とした研究を推進する。
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Causes of Carryover |
研究分担者永田浩一が動物実験を予定していたが、大石と共同で作成中のノックインマウスの作成に時間がかかり、まだ変異ノックインマウスが得られなかったため、永田の実験が次年度に延期された。 変異ノックインマウスのF0は既に得られており、現在交配を繰り返している。近い将来に変異マウスの作成に成功する見込みであり、出来次第、予定の実験に着手する。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] A de novo gain-of-function mutation in MYCN causes a novel megalencephaly syndrome2018
Author(s)
Kohji Kato1,2, Fuyuki Miya3,4, Nanako Hamada5, Yutaka Negishi1, Yoko Narumi-Kishimoto 6, Hiroshi Ozawa6, Hidenori Ito5, Ikumi Hori1, Ayako Hattori1, Nobuhiko Okamoto7, Mitsuhiro Kato8, Tatsuhiko Tsunoda3,4, Yonehiro Kanemura9,10, Kenjiro Kosaki11, Yoshiyuki Takahashi2, Koh-ichi Nagata5, Shinji Saitoh
Organizer
Annual Meeting of American Society of Human Genetics 2018
Int'l Joint Research
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