2020 Fiscal Year Research-status Report
Analytical research on pathogenesis of undetectable synthetic cannabinoids
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18K19703
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
吉田 謙一 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (40166947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花尻 瑠理 (木倉瑠理) 国立医薬品食品衛生研究所, 生薬部, 室長 (10224916)
川原 玄理 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40743331)
林 由起子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (50238135)
前田 秀将 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60407963)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 法中毒学 / 病態生理学 / ゼブラフィッシュ / カフェイン / 行動薬理 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究を予定していた合成カンナビノイドが、予備実験で想定していた効果を示さず、その後、輸入が困難となったことから、研究対象をカフェイン等に変えて中毒学的な研究を行った。ゼブラフィッシュ幼魚に対してカフェインは、低濃度で頻脈を示す他、容量依存性に心拍を抑制し、高濃度では24時間以内に大部分が心拍抑制による死に至ることを見出した。ゼブラフィッシュの死を示す形態的特徴を明確にし、心拍抑制の機序は、心筋カリウムチャネルhERGに対する抑制効果であると推定した。ビデオ追跡システムを活用し、ゼブラフィッシュ幼魚を、15分おき、明・暗刺激に暴露するサイクルを繰り返して、水泳距離等を指標に運動を自動記録し評価した。その結果、カフェイン 100-300mg/Lは、運動を、明期に増加させ、暗期に減少させた。この明暗サイクルに対する運動量の変化の再現性は高く、不安の指標と考えられた。また、カフェイン500mg/L以上では、心拍数抑制と相関して、運動は抑制され、24時間後の不動化は、形態変化の確認により、死を示すことが確認された。このように、ゼブラフィッシュ幼魚を用いた自動運動解析装置による運動解析により、薬物の不安行動をモニターし、身体的異常による行動抑制を指標に、心拍や死に対する毒性をスクリーニング検査のシステムを確立した。このシステムを用いると、他の多くの薬毒物の毒性スクリーニングに応用できる可能性、一つの薬物について、中毒・致死濃度の推定、行動や死に対する作用の分子機構を一度に多くの条件、多くの個体を利用し、短時間に確認できる。本年度、カフェインによるゼブラフィッシュのmicroRNAの変化を指標として、カフェインの薬理作用の分子病態を解明することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、研究対象としていた合成カンナビノイドに関する実験から、予想していた結果が得られず、新たな法規制により当該薬物が輸入できなくなったため、追加実験ができず、研究計画の大幅な変更を余儀なくされ、この間の試行に時間がかかった。代表研究者の職場が変わり、実際に実験を行う共同研究者の教育・事務作業の労力が、新型コロナウイルス感染症蔓延のため格段に増加し、研究の遂行が大幅に遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
microRNAは、様々なヒトの病態、動物の病態モデルにおいて、重要な役割を果たしており、その変化が、病態のマーカーとして利用できることが注目されている。そこで、ゼブラフィッシュ幼魚を致死濃度よりやや低い濃度のカフェインに24時間暴露した後、micro RNAの網羅的解析を行う(業者に委託)。その解析を行い、変化の大きいmicroRNAを、real time PCR装置を用いて測定し、実際の変化を確認する。できれば、変化の大きいmicroRNAについて遺伝子操作を行い、病態への寄与を確認する。 microRNAは、死後安定であり、死体血を用いた病態解析への応用の可能性が期待される。上記の研究で見出したmicroRNA病態マーカーについて、解剖事例の中で、中毒事例、突然死事例等について、病態解析や死因究明に活用できないか検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症蔓延のため、主たる実験遂行者の業務負担が増え、実験の遂行が遅れたため。
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