2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment for the Real-time visualization system of the radioactive material transfer in the small insect living outdoors..
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18K19855
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 裕美子 九州大学, アイソトープ総合センター(伊都地区), 教授 (70244340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤淵 俊王 九州大学, 医学研究院, 教授 (20375843)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | リアルタイムイメージング / ガンマカメラ / シンチレータ / セシウム(Cs-137) / ラジオアイソトープ / カイコ(Bombyx mori) / クワコ(Bombyx mandarina) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は可搬型で安価でリアルタイムにガンマ線をイメージングするシステムを開発することを目的に、2019年度は、研究者が所持していた市販の一丸レフディジタルカメラPENTAX KP(リコーイメージング,東京)と3cm厚のCsI(Tl) シンチレータを組み合わせ、遮光した状態でリアルタイムに画像を取得するジグを作成した。本検出器を用いて、X線およびγ線のリアルタイムイメージングについて基礎検討を実施した。X線をシンチレータに照射することで、照射部位のリアルタイムイメージングできることを確認できた。しかしCs-137 3.7MBq密封線源による照射実験では、シンチレーション光を確認することが出来なかった。原因としてはディジタルカメラの感度不足が考えられる。そこで、ディジタルカメラにイメージングインテンシファイア(I.I.) C9016(浜松ホトニクス,静岡)を装着し場合および高感度の科学計測用C-MOSカメラC11440-36U(浜松ホトニクス,静岡)に変更した場合の感度評価を実施した。その結果、I.I.を使用することで10倍、科学計測用カメラで100倍近くの感度上昇を確認出来た。 並行し、カイコへの非密封放射性同位元素Cs-137の投与の予備実験を実施した。摂取量を数段階に変えたCs-137の液体を練りこんだ人工飼料をカイコ5齢幼虫に摂取させ、カイコが生きている状態での体内のCs-137の分布を、東京大学工学部で開発しているコンプトンカメラ、ガンマカメラで計測した。その結果、カイコの消化器官内(前腸、中腸、後腸)の詳細なイメージングまではできないものの、消化器官内全体内のガンマ線の分布を取得することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、当初実験室におけるカイコに投与したCs-137のリアルタイムイメージングまで実施することを目標とし、最初に容易に使用できるX線での予備実験では、イメージングを確認することに成功した。しかし、所持しているカメラシステムでCs-137のγ線(662 keV)の画像を取得するには感度が足りず、システムおよび画像取得方法の改善に検討を要している。目標としているCs-137のγ線が高エネルギーであり、シンチレータの透過率が高いこと、カメラの感度不足といった物理特性が主な要因として考えられる。改善策として、β線のイメージング、より感度の高いカメラの利用、画像取得ソフト側の改善について引き続き検討する必要がある。また、リアルタイムイメージングを実施するためには、高感度に放射線をとらえる必要があるが、同時に空間分解能も検討する必要がある。今年度、鉛板をスリット上に配置した2.5 cm厚のコリメータを試作することはできたが、コリメータと感度はトレードオフの関係にあることから、コリメータを使用しつつイメージングするにはさらに感度向上のための工夫や検討が必要となる。 並行して実施したカイコ幼虫へのCsの投与は、投与後すぐにカイコが死亡することもなく、予備実験としては成功した。また投与後のRIの汚染を防ぐため、試験管の中にカイコを入れることで安全に実験を実施することが出来たが、実験用カイコ幼虫の齢期を合わせることができず、当初予定通りの回数の実施をすることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく用意したC-MOSカメラおよび周辺機器等を用い、γ線イメージングの基本特性評価、画像取得および画像処理によるノイズ除去および高感度取得方法を検討する。モンテカルロシミュレーションによりRIからのγ線以外に高感度に取得するため、β線、光電子等他の取得方法についても検討する。取得した画像の空間分解能評価およびその改善策について検討する。 基礎検討を実施した上で、非密封放射性同位元素Cs-137の溶液を練り込んだ人工飼料を投与したカイコのイメージング実験、さらにカイコの近縁種のクワコ(Bombyx mandarina)の幼虫を用いた同様の実験を実施する。そのために、実験材料であるカイコとクワコ幼虫を定期的に供給できる体制を確立する。
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Causes of Carryover |
令和元年度に予定していたカイコ投与実験がカイコの入手の滞り、所持しているカメラシステムでCs-137のγ線(662 keV)の画像を取得するには感度が足りず、システムおよび画像取得方法の改善の必要性判明により、実験を実施する回数が少なくなったこと、上記に伴って学会発表等を含む使用予定の旅費を全く使わない結果に終わったことが原因であった。 令和2年度はデバイスの開発、β線のイメージング、より感度の高いカメラの開発、画像取得ソフト側の改善に向けた部品等の購入、投与実験回数の増加、またおよび成果発表についての旅費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)