2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of real-time radiation detector capable of measuring with quality discrimination in neutron capture therapy
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18K19916
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 浩基 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (70391274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 信司 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (20340549)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 中性子捕捉療法 / BNCT / 線質弁別 / リアルタイム / 放射線検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
京都大学複合原子力科学研究所では加速器を用いたBNCTのための熱外中性子源を開発した。これまで臨床研究に用いてきた原子炉中性子源よりも中性子エネルギーが高いため照射野外の被ばくが多くなる可能性がある。原子炉中性子源では金の放射化法により、熱中性子束を測定してきた。また、全身位置においては、高速、熱外、熱中性子及びガンマ線が混入して照射される。それぞれ生物学的効果が異なるため、弁別して測定することが望まれている。現在この要求に対応可能な検出器は皆無であり、また迅速に測定結果を得るために、リアルタイムで測定できる手法の開発を行うことが急務となっている。 本研究においては、エネルギー領域の異なる中性子及びガンマ線を弁別して測定可能なリアルタイム放射線検出器の開発を行うことを目的としている。本年度においては、マルチチャンネルSiPMを用いて、多チャンネルの読み出しが可能となるシステムを構築した。また平成30年度に構築した熱、熱外、高速中性子検出器の高度化として、各検出器からの信号からのカウントを既知の熱中性子照射場で校正した値で規格化し、モンテカルロシミュレーションを組み合わせることにより、中性子スペクトルを導出することが可能となった。既知の熱中性子照射場にはすでに人への臨床が行われているサイクロトロンを用いた加速器中性子源を用いた。 熱中性子検出器は熱中性子の寄与が全体のカウント数の95%で測定可能であるが、熱外中性子検出器には熱中性子の寄与が10%程度混入することが分かった。また高速中性子検出器は熱外中性子にも感度を有しており、完全に分離して測定することは困難であることが分かった。ここで、各検出器のそれぞれのエネルギー領域の感度を評価し、各検出器の信号を解とした連立方程式を解くことにより、それぞれのエネルギー領域の中性子束を評価することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多チャンネルの読み出しが可能となるシステムの構築を行うことができた。また、当初予定していた熱、熱外、高速中性子を完全に弁別して測定することは困難であることが分かり、検出器の高度化として、熱、熱外、高速中性子エネルギーの弁別評価が可能となる手法を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実際にサイクロトロンを用いた加速器中性子源もしくは原子炉中性子源と人体等価ファントムを用いて実用化試験を実施し、平成30年度、令和元年度で構築した多チャンネル読み出しシステムと、中性子エネルギー弁別評価方法を用いて、線質弁別測定を確認し、臨床研究への応用まで実現したいと考えている。実用化試験の結果に関しては研究分担者からの医学的な助言を得ながら研究を進める。
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Causes of Carryover |
次年度に行う加速器中性子源を用いた実用化試験における消耗品を購入する必要が生じたため。また、SiPMアレイの高度化の際の調整費が必要なため。次年度に請求していた予算は成果のとりまとめに関するもので、繰越金は消耗品、調整費の購入に割り当てる予定である。
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