2018 Fiscal Year Research-status Report
International Collaborative Research on Political Information Transmission by Using Survey Experiment Methods
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18KK0040
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
多湖 淳 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80457035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 尚子 神戸大学, 法学研究科, 特命准教授 (20778500)
小浜 祥子 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (90595670)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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Keywords | 政治学 / サーベイ実験 / 心理学 / アメリカ / 香港 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「サーベイ実験による政治情報伝達現象の国際協働研究」という大きなテーマ設定の下で、①国際組織の授権による対世論説得効果の分析、②見えない危機における政府声明の対世論情報効果の分析という二つの研究を行い、社会科学引用インデックス(Social Science Citation Index: SSCI)で評判の高い雑誌よりから複数の論文を刊行しようとするものである。 ①と②について、既に日本人との共著でSSCI論文を有するPIの多湖淳が統括をし、北海道大学の小濵祥子、神戸大学の松村尚子がそれぞれテーマを分担して、米国のDuke大学のGrieco教授、中国の香港大学のQuek助教授との協働を進める。 ①国際組織の授権による対世論説得効果の分析については松村とGrieco、②見えない危機における政府声明の対世論情報効果の分析については小濵とQuekの組が協働を主導し、多湖が両者をさらにネットワーク化して相互の刺激し合いを促進し、政治情報伝達現象における国際比較実験研究の意義をまとめる研究を進める。 2018年度においては研究体制の確立のため、日本の3研究者での打ち合わせのほか、2018年1月にQuek助教授と東京での面談を実現したほか、2019年春にGrieco教授の東京訪問について調整をした。また、共同研究のコアである実験の設計のほか、国際学会でのパネル公募への応募を開始し始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の実施体制構築と確立が2018年度の重要な課題であったが、それは十分達成され、実験デザインの議論が緊密に行われ、満足いく形で進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
①国際組織の授権による対世論説得効果の分析においては、新しい研究のフロンティアが説得される対象の国民をうまく分解すること(unpacking the audience)にあると考える。国際組織に対する考え方は政治的な立場(いわゆる右派・左派、孤立主義者・国際主義者)で異なり、受け取る情報も違うはずであるが、過去の研究は(自らのBJPS論文も含め)これを区別せずに国民を集合体として扱い分析をしてきた。Duke大学のGrieco教授も同様の問題の存在を認めており、日米協働研究チームによって国民をうまく分解すること(unpacking the audience)を試み、革新的な研究を行いたいと考える。そのための実験を2019年度は実施していく。また、②見えない危機における政府声明の対世論情報効果の分析においては、民主主義国での声明効果が繰り返し実証されているものの、権威主義体制の国家では実験ができておらず、理論と実証結果の一般化の可能性について限界がある。すなわち、日本やアメリカ、韓国だけではなく中国やシンガポールといった国でのサーベイ実験が欠かせず、その作業を本資金と香港大学のQuek助教授と北海道大学の小濵およびPIの多湖の協働で実施するが、2019年度はその第一次実験の実施を試みる。
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Causes of Carryover |
予定していたプレ実験が研究倫理審査に時間を要したこともあり、計画した2018年度に間に合わず実施できなかった。しかし、2019年度早々に実施が可能であり、研究が著しく遅延している状態にはない。また、旅費について予定していた香港への渡航が日程調整がうまくいいかず、2019年度へ延期することになっている。次年度使用額分は実験と旅費への充当という形で使用計画を立てている。
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