2019 Fiscal Year Research-status Report
Application of optical vortex spectroscopy to process plasma and development to new material creation
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18KK0079
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
荒巻 光利 日本大学, 生産工学部, 教授 (50335072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 信次 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50311204)
寺坂 健一郎 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (50597127)
矢澤 翔大 日本大学, 生産工学部, 助教 (10737951)
小林 弘和 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (60622446)
戸田 泰則 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00313106)
鹿野 豊 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特任准教授 (80634691)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | 光渦 / プラズマ分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,光渦分光法をプロセスプラズマに適用することでプラズマの制御性を格段に向上させ,そのプラズマ源を材料開発に応用することである.2019年度は,2020年度以降のドイツおよびデンマークでの実験に備えた装置開発および予備実験を行った. ドイツ・ルール大学との共同研究では,容量結合プラズマ(CCP)と基板の境界であるシース内における,イオン流速の測定を目的としている.CCPは広くプラズマプロセスで用いられており,シース内で基板に垂直方向に加速されたイオンのエネルギーは,膜質を左右する重要なパラメータである.従来は,基板に穴をあけてレーザーを基板に垂直方向にレーザーを通すか,イオンを引き出してエネルギーアナライザで検出するなどし基板への入射エネルギーが測定されてきた.本研究では,基板に平行な方向から入射した光渦によって,基板に垂直な方向のイオン流速を測定することを目指している.従って,基板や電極を加工する必要がなく,実機への応用も可能となる.2019年度は,光渦を用いたレーザー誘起蛍光測定系を開発し,HYPER-II(九州大学)での予備実験を開始した. デンマーク工科大学との共同研究では,希少金属を用いない透明電極の高性能化に関する研究を進めている.現時点で得られている導電性透明薄膜は,電気特性の位置依存性が大きく,何が特性を決めているのか明らかになっていない.本共同研究では,光渦分光により,基板直前のイオン・原子のエネルギー分布を測定し,薄膜の電気的特性との関係を明らかにすることを目指している.2019年度は,予備的実験として,デンマーク工科大学にて,DCスパッタリングプラズマの発光分光測定を開始し,観測可能なAr, Zn, Al等の発光線を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に従い,共同研究者間の情報交換と装置開発を中心に研究を進めた.国内の共同研究者間で緊密に連携して光渦吸収分光の実用化に向けた測定系の開発とそれに並行して光渦の波動伝播等の理論解析を進めている.ドイツ・ルール大学に移設する予定の光渦レーザー誘起蛍光測定系を開発し,九州大学にて予備実験を開始している.また,フーリエマスク吸収分光法および光渦の伝播効果等に関する理論解析を日本大学にて進めている.2021年度から開始予定の,デンマーク工科大学における透明電極用プラズマへの光渦分光応用に関連して,予備的な発光分光測定を前倒しで開始した.2020年度以降のドイツおよびデンマークにおける分光実験およびプラズマプロセス応用に向けた議論も開始しており,順調に研究計画を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度より,ドイツ・ルール大学での光渦レーザー誘起蛍光測定実験の開始を予定している.また,計画を前倒しして開始したデンマーク工科大学における予備実験も引き続き進める予定である.しかし,コロナウイルスの世界的大流行により,2020年5月の時点で,これらの国外における実験がいつ再開できるか不明な状況にある.今後は,状況が改善した時点で速やかにドイツおよびデンマークにおける実験が開始できるよう,国内で測定系の開発を進めるとともに,スパッタプラズマ源を開発し,予備実験を国内で実施することを計画している. 光渦レーザー誘起蛍光法の開発に関して,プラズマ内に加速電極を挿入してイオンを加速し,シース内で加速されるイオンを模擬し,その測定実験を行う.また,光渦レーザー誘起蛍光法で光渦の効果を確認できなかった場合に備え,フーリエマスクを用いた超高感度吸収分光法の開発も並行して進める. デンマーク工科大学で実施予定のプラズマプロセスへの応用では,アルミの情報が重要と予測しているため,発光分光法およびレーザー誘起蛍光法等を用いた計測を検討する.また,予備実験を国内で行うため,デンマーク工科大学と同等のスパッタプラズマ源を開発する. 国際共同研究の実施時期については,引き続き共同研究者と密接な連携を取りつつ検討を進める.
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Causes of Carryover |
2020年度に予定している実験系の移設費用が当初予定よりも高額となる可能性を考慮して,予算の一部を繰り越した.移設費用の確定しだい,残予算は光学系準備に充てる予定である.
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Research Products
(9 results)