2021 Fiscal Year Research-status Report
Application of optical vortex spectroscopy to process plasma and development to new material creation
Project/Area Number |
18KK0079
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
荒巻 光利 日本大学, 生産工学部, 教授 (50335072)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 信次 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50311204)
寺坂 健一郎 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (50597127)
矢澤 翔大 日本大学, 生産工学部, 助教 (10737951)
小林 弘和 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (60622446)
戸田 泰則 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00313106)
鹿野 豊 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特任准教授 (80634691)
|
Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
|
Keywords | 光渦 / プラズマ分光 / 吸収分光法 / レーザー誘起蛍光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,光渦分光法をプロセスプラズマに適用することでプラズマの制御性を格段に向上させ,そのプラズマ源を材料開発に応用することである.ドイツ・ルール大学との共同研究では,容量結合プラズマ(CCP)と基板の境界であるシース内における,イオン流速の測定を目的としている.CCPは広くプラズマプロセスで用いられており,シース内で基板に垂直方向に加速されたイオンのエネルギーは,膜質を左右する重要なパラメータである.本研究では,基板に平行な方向から入射した光渦によって,基板に垂直な方向のイオン流速を測定することを目指している. この国際共同研究のために,光渦吸収分光法および光渦レーザー誘起蛍光(LIF)法の測定系を開発している.ビームを横切る流れを光渦吸収分光法で測定する場合,流れの方位角速度成分が方位角に依存するため,必然的に光渦は非等方に吸収される.回転対称性が失われた光渦は,伝搬に伴うGouy位相の変化によって構造が回転することが知られている.この構造の回転が,測定されるドップラースペクトルに与える影響を定量的に評価するため,実験系のパラメータに基づいて角スペクトル法による数値解析を行った.その結果,我々の実験系ではビーム中心から100μmの位置で観測される方位角ドップラーシフトには約23%の誤差が含まれるが,260μmでは誤差が6%程度まで抑えられることが明らかとなった.これらの数値解析の結果に基づき,波長可変ダイオードレーザー吸収分光(TDLAS)測定を行い,方位角ドップラーシフトを用いた横方向流れ計測に成功している.光渦LIF計測に関しては,核融合科学研究所のHYPER-I装置を用いた予備実験を実施している.光渦LIFに関する成果は,論文として発表している(J. Adv. Simulat. Sci. Eng. 9 (1), 150-159 (2022)) .
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度より,ドイツ・ルール大学での光渦分光測定実験の開始を計画していたが,新型コロナウイルスの感染拡大の影響により引き続き延期となっている.また,国内共同研究者間でも人の移動を伴う共同研究は進めにくいため,各所属機関での研究開発を主に進めている.このような状況を考慮して,本研究ではオンラインによる打合せを継続しつつ,測定系の高精度化等の開発を進めており,コロナ禍後の実験に備えている. 2021年度は光渦吸収分光法の高精度化に進展があった.実験系のパラメータに基づいて,角スペクトル法を用いた光渦吸収分光の数値解析を行い,非等方に吸収されながらプラズマ中を伝搬する光渦の構造変化と、観測されるドップラースペクトルに含まれる誤差に関する知見を得た.これにより,我々の実験系ではビーム中心から100μmの位置で観測される方位角ドップラーシフトには約23%の誤差が含まれるが,260μmでは誤差が6%程度まで抑えられることが明らかとなった.実験系では,光渦の生成に用いるホログラムの最適化等によるモード純度の向上,高次の光渦の利用,ビームスポットの揺らぎ低減等の改善を行った.これにより,方位角ドップラーシフトの空間分布を用いて, 100m/sの横方向流速が誤差10%程度で観測できることを実験的に示した.光渦LIFに関しては,引き続き核融合科学研究所のHYPER-I装置を用いた予備実験が進められており,トポロジカルチャージ10の光渦ビームを用いた光渦LIF計測やベイズ統計を用いたデータ解析に関する検討を行った.観測された光渦LIFスペクトルでは負バイアス電圧の増加とともに標準偏差の増加が観測されており,我々の数値計算による事前評価と定性的に一致した.これらの成果について,国内外の学会で講演および査読付きの論文として発表した.
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は本研究課題の最終年度であるが,引き続きコロナ禍の影響が予想されるため,ドイツ・ルール大学およびデンマーク工科大学での実験が実施できるか不透明な状況にある.このような状況を考慮して,2022年度もオンラインによる打合せを継続しつつ,コロナ禍後の実験に備えた研究開発を進める予定である. 光渦吸収分光に関しては,横方向流れ計測の原理実証実験に成功しているが,高精度な測定にはシステム全体の安定性確保が重要である.共同研究先に測定系を移設した場合,力学的な振動ノイズ,光路の空気の乱れや電気的ノイズ等の対策にかなりの時間を要すると予想される.そのため,2022年度はシステムの簡略化や高安定化を行い,実験室環境の変化に影響されにくい測定系の開発を進める予定である.光渦LIF分光システムに関しては,初期実験で得られたスペクトルにおいて方位角ドップラーシフトの検出には至っていない.これは,回転対称な光渦の基本モードで励起した場合に,LIF信号の積分値として得られるドップラースペクトルでは微小な方位角ドップラーシフトの影響を分離するのが困難なためである.この問題に対応するため,非対称光渦を用いたLIF測定を計画している.
|
Causes of Carryover |
実験系の移設および共同研究者の海外渡航による研究の実施がコロナ禍の影響で延期となっているため予算を繰り越している.2022年度も,国際共同研究の実験実施時期について引き続き共同研究者と密接な連携を取りつつ検討を進めるが,年度上旬までに目途が立たない場合は,渡航費等を装置開発費として活用し測定系の性能向上に充てる.
|
Research Products
(9 results)