2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of online ultrasonic Doppler rheometry
Project/Area Number |
18KK0105
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村井 祐一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80273001)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PARK HYUNJIN 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00793671)
熊谷 一郎 明星大学, 理工学部, 教授 (50597680)
|
Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2021-03-31
|
Keywords | レオロジー / 流体工学 / 物性 / 非接触計測 / 超音波 / PIV / 食品 / 不透明流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題はオンラインレオメトリーを開発・実現するために,スイス連邦工科大学(ETH)との共同開発を行っている.一つ目の成果は,超音波ドップラー流速分布計(UVP)で取得される流速分布と,レオロジー構成モデル方程式の数値解分布をデータ同化する解析手法の開発である.H30年度は,これを実現するための前提となる流速分布からの圧力分布の測定技術を開発した.UVPで取得される時間と空間の2次元流速分布から,非圧縮粘性流体の連続の式,運動量保存方程式を組み合わせたデータ処理手法を開発し,そこに正規直交分解(POD)を導入することで,計測ノイズに対して十分な耐性をもつアルゴリズムが完成した.このベンチマーク検証として円柱後流カルマン渦の流速分布をUVPで計測し,個々の渦が誘発する圧力変動の計測に成功した.さらに不透明流体に対して世界で初めて時空間の圧力分布の計測に成功した.この成果は国際誌の Flow Measurement and Instrumentationに論文として掲載された.またこの開発にあたり,ETHからP.Fischer教授,E.Windhab教授を北海道大学に招へいし,3日間にわたり討論した.これに合わせて,本基金によりETHと北海道大学の合同シンポジウムを北海道大学で開催した.参加者はETH側から合計7名,北海道大学からは工学部,農学部,水産学部のレオロジー分野の研究者と大学院生の合計80名が参加した.この合同シンポジウムで本課題のテーマから10件の講演を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度は,超音波によるリアルタイムでの物性抽出を可能とする世界初の試みとして,ETHと北海道大学,明星大学が個々の専門技術を提供する土台が完成した.H30年11月にはETHから7名の研究者が来日し,北海道大学で合同シンポジウムの開催を実現できた.H31年2月には,代表者の村井と分担者の熊谷がETHに一週間訪問・滞在し,本課題に関するビジョンの発表と今後の研究協調戦略について討議を行った.とくにマイクロプラスチック問題に貢献する非ニュートン混相流動の計測と制御に重点を置くことが決定した.並行して相互の研究を進め,H30年度後半には5編の国際誌に本課題に関係する成果が発表された.このうち水・油・ガスが混在する複雑3相流の超音波モニタリングについては,International Journal of Multiphase Flowに掲載,液体金属のUVPによる測定とその熱物性評価については,Physical Review Fluidsに掲載,超音波パルスの高周波信号処理による壁面境界層内の界面計測については Experimental Thermal & Fluid Scienceに論文が掲載された.さらに振動せん断流のUVPによる計測で時空間に物性分布をもつ流体の計測技術を開発し,Journal of Rheologyに掲載が決定した.
|
Strategy for Future Research Activity |
本課題は3つのテーマから構成され,それぞれの研究を推進する.テーマ1は流速分布測定技術とレオロジー支配方程式のデータ同化,テーマ2は,超音波や光による組織や物性の空間分布を可視化するレオグラフィ,テーマ3は,機械学習の利用を前提としたレオロジービッグデータの構築システムの開発である.テーマ1は主として代表者の村井がリードして開発する.R1年度は,シアシニング流体のUVPデータとレオロジー構成方程式の融合による,非ニュートン流体の圧力を含む応力テンソル分布の測定技術を開発する.シアシニング特性が弱い場合においては,すでにその仮試験データの獲得には成功しているため,対数特性をもつ強い非ニュートン流体での適用性の拡張に着手する.テーマ2については振動せん断流において実現できる数理スキームを確立したので,様々なレオロジー流体での試験を拡大する.なお,基本原理については本課題の成果として,既に特許出願を終えた.テーマ3については村井,朴,熊谷が協力し,機械学習型のレオメトリーを設計する.すでにANN(人工ニューラルネットワーク)によるプログラムは完成し,2変数空間で記述可能な非ニュートン流体の物性空間分布の合理的推定アルゴリズムが完成している.R1年度はこれをCNN型およびSNN型に拡張する.ETHとの第2回目の合同研究会については,2019年6月にETHを会場として実施予定であり,既に参加者も決定している.
|
Causes of Carryover |
2019年2月にETHに訪問・滞在した際の2名分の旅費が3月における精算の結果,当初見込みより安価で済み,そのまま繰り越すこととなった.この残金は,2019年6月にETHに滞在して研究するための旅費に充当する.
|
Research Products
(21 results)