2019 Fiscal Year Research-status Report
Improved understanding of forest ecology in Madagascar through integrative analysis of seed dispersal by endemic animals and seedling establishment
Project/Area Number |
18KK0179
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北島 薫 京都大学, 農学研究科, 教授 (40721379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 宏樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (90625302)
中村 雅彦 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90272880)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 熱帯乾燥林 / 樹木種多様性 / 森林動態 / 種子散布 / 実生更新 / マダガスカル / 森林構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の大きな目的の一つは、マダガスカルのアンカラファンツィカ国立公園内の熱帯乾燥林において15 haの森林長期調査区を設定し、胸高直径5 cm以上の全ての立木を同定して、アルミの番号札を付け、全ての個体の種名、胸高直径および位置情報を記録することである。まず、調査は2019年3月に開始し、2020年3月までに、コンパス測量により10 m x 10 mのグリッドを最小の誤差(<< 1m)で設定し、全ての小区画の4隅に塩ビパイプの杭を打った。また、アンカラファンツィカ国立公園の出現植物リストを入手し、エラーの修正なども行い、植物同定とデータベースの成果としては、約150の木本種が識別されている。また、同定に少しでも疑いのある植物種についてはさく葉標本を作成し、アンタナナリヴ大学などの植物分類学者に種同定を依頼する準備をした。2020年3月までに、15 haのうちの10 haの第1回調査が終わった。この間、現地の修士号を持つ学生を現地調査のチームリーダーとして育成した。また、このプロジェクトの第2の主な目的は、固有の動物による種子散布を群集レベルで定量化することである。このために、種子トラップなどに必要な資材を日本と現地で調達して、2019年8月には正方形のサイズ0.5 m2 の種子トラップを120設置し、現地アシスタントを訓練して、隔週でトラップを回収して乾燥保存するシステムをたちあげ、継続している。また、2020年2月には、鳥類による種子散布の調査のために、かすみ網で捕獲した個体からの糞の内容物を調べる調査も3週間にわたって行なった。2019年8月初めには、マダガスカルの首都で開催された熱帯生物保全学会 (ATBC)の国際学会においても、進行中の本プロジェクトを紹介し、調査参加予定の5名が同学会での発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R1年度の半ばに、申請書で予定した以上に早いスペースで調査が進行していたため、予算を前倒しで申請した。しかし、コロナウイルス感染拡大に伴う渡航制限やマダガスカル国内の移動制限のため、3月に予定していた調査を中止せざるをえず、一部の予算は次年度に繰り越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度中に現地のアシスタントを十分に訓練したため、日本人研究者が不在の間も作業を自律的に進められるような条件を整えた。このため、コロナウイルス感染拡大のために3月中旬から渡航ができなくなっている状況下でも、調査は継続しており、2020年7月までには15 ha全域が終わると予測される。種同定が不確かな植物種は、同定用の錯葉標本を作成して、現地の植物分類学者に同定を依頼する予定で、標本を保管している。コロナウイルス感染拡大防止目的の渡航制限がなくなり次第、研究代表者(北島)と分担者(佐藤、中村)のチームが渡航して、フィールドワークをリードする予定である。特に、種子トラップで回収されたサンプルは、保管してきただけなので、まとめて仕分けや種同定をすることが、本年度の大きな目的となる。また、研究代表者(北島)は、それぞれの種子トラップの周囲に1 m x 1 mの実生モニタリングプロットを3つ設置して、8月から11月の間に第1回の実生調査を行う予定の遂行をフィールド調査の中核とする。分担研究者の中村は、昨年度と同じ方法で鳥類による種子散布の研究調査を繰り返す。若手分担研究者の佐藤は、7月末からと11月末以降の両方に参加して、現地アシスタントによる種子散布長期モニタリングを確実に進める。北島の研究室の金子助教は、森林動態調査と樹木種同定のエクスパートとして、現地でのエラーチェックも含めて、15 ha立木調査のデータベースの構築と管理を担当する。さらに、日本とマダガスカルの複数の大学院生が参加する予定である。
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Causes of Carryover |
申請書で予定した以上に早いスペースで調査が進行していたため、2019年7月に予算の一部を前倒し請求した。しかし、コロナウイルス感染拡大に伴う渡航制限やマダガスカル国内の移動制限のため、3月に予定していた調査を中止せざるをえず、一部の予算は次年度に繰り越しとなった。
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