2021 Fiscal Year Research-status Report
Improved understanding of forest ecology in Madagascar through integrative analysis of seed dispersal by endemic animals and seedling establishment
Project/Area Number |
18KK0179
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北島 薫 京都大学, 農学研究科, 教授 (40721379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 宏樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (90625302)
中村 雅彦 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90272880)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | 熱帯乾燥林 / 森林構造 / 樹木種多様性 / マダガスカル / キツネザル |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度にはコロナ禍の影響で海外渡航が不可能であったため、主としてデータ解析と結果の学会発表などに注力した。具体的には、本プロジェクトではアンカラファンツィカ国立公園内の熱帯乾燥林に15 haの森林長期調査区の、胸高直径5 cm以上の全ての立木を同定して、アルミの番号札を付け、全ての個体の種名、胸高直径および位置情報を記録する作業を2020年度に完了していた。この結果、4万本の立木個体が記録され、143の木本種が識別されるデータベースが構築された。また、同定に少しでも疑いのある植物種についてはさく葉標本を作成し、英国王立キュー植物園マダガスカル支部 の植物分類学者に種同定を依頼し、この確認作業を2020年度から継続した。また、このプロジェクトの第2の主な目的は、固有の動物による種子散布を群集レベルで定量化することである。このために、15ha 区画内に配置した120の種子トラップから、現地研究協力者により2週間ごとにトラップの内容物を回収して乾燥保存する活動を継続した。新型コロナウイルス感染拡大のため、日本からの渡航が不可能であったが、インターネットや携帯電話回線を利用して、現地チームメンバーと連絡を撮り続けた。また、森林構造の解析のために、層化抽出法によって抽出したおよそ200個体について樹高の測定も行い、google earth などの衛星画像解析を活用して、森林構造解析をスケールアップする手法の開拓も行なった。国際学会であるAssociation for Tropical Biology and Conservation および Ecological Society of America がオンラインで大会を開催したので、これにおいて口頭およびポスター発表を行なった。また、国内学会である日本熱帯生態学会と日本生態学会においてもポスター発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大に伴う渡航制限やマダガスカル国内の移動制限のため、2021年度中に予定していた調査活動の多くが制限された。ことに、種子トラップに隣接して実生更新観察区を設定して第一回の実生のマーキングと同定を行うことや鳥類などの動物による種子散布の調査を元々の研究計画では想定していたが、2021年度の後半まで継続した渡航制限のため実行できなかった。旅費として予定していた多くの予算は2022年度に延長申請を行い繰り越して、マダガスカルへの渡航が可能になった2022年度に注力して、サンプルの仕分けやデータ解析を開始する。また、学会発表などの成果を投稿論文下する作業を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の初年度から、現地チームのリーダーとアシスタントを十分に訓練したため、日本人研究者が不在の間も作業を自立して進められた。コロナウイルス感染拡大防止目的の渡航制限は、2022年4月の段階で未だ外務省の渡航制限レベル3であるが、必要な許可を得て十分な安全対策を講じることで、2022 年度8月以降に研究代表者(北島)と分担者(佐藤、中村)のチームが渡航して、フィールドワークを再開する予定である。特に、2019年度から保管している種子トラップのサンプルを仕分けて種同定をすること、さらに、種子トラップに隣接して360の実生更新観察区 (1 m x 1 m)を設定することは、2022年度の大きな目的となる。分担研究者の中村は、昨年度と同じ方法で鳥類による種子散布の研究調査を繰り返す。また、森林構造と樹木種組成についてのデータ収集が、種同定も含めほぼ完了しているので、本年度は、データ解析や査読付き論文の準備と投稿に力を入れる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴う渡航制限やマダガスカル国内の移動制限のため、日本からマダガスカルへの調査渡航が全く不可能であったため、延長申請をおこない、旅費予算の全てなどを次年度に繰り越した。
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