2022 Fiscal Year Annual Research Report
Improved understanding of forest ecology in Madagascar through integrative analysis of seed dispersal by endemic animals and seedling establishment
Project/Area Number |
18KK0179
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北島 薫 京都大学, 農学研究科, 教授 (40721379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 宏樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (90625302)
中村 雅彦 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90272880)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | 熱帯乾燥林 / 生物多様性 / マダガスカル / 動物植物相互作用 / 生態系サービス / 樹木群集 / 種子散布 / フェノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は、マダガスカル北西部アンカラファンツィカ国立公園内の熱帯乾燥林にて、マダガスカル初の長期森林動態調査区(15 ha)を設定し、胸高直径5 cm以上の全ての木本にアルミの番号札を付け、種名、胸高直径および位置置情報(0.1 mの精度)を記録することである。2021年度にはこれらのデータを入力して解析を進め、およそ4万本の立木および木本ツル植物の個体の記録から、約150の木本種が識別されるデータベースが構築された。2021年度末に渡航が再開されてからは、世界的な森林動態ネットワークへの参画を視野にいれて、中央部6haにおいて、直径1 cm以上の全ての立木をマッピングする作業を開始した。一方、実生更新観察区の設定や鳥類による種子散布の調査は、新型コロナウイルス感染防止のための渡航制限が緩和された2022年度以降の実施となった。4年半の間に得られた主な成果は、以下の4点にまとめられる。(1)マダガスカル北西部乾燥林の15-ha大規模長期森林調査区(FDP)の森林構造を記載した。(2)マダガスカル北西部乾燥林の15-ha大規模長期森林調査区(FDP)の樹種多様性を記載した。(3)マダガスカル北西部乾燥林の構成樹種のキツネザルによる種子散布への依存度を定量的に評価した。(4)優占樹種の空間分布と機能形質の関係についての定量的な解析を行なった。主な学術的な意義としては、本研究はマダガスカル初かつ世界で3番目の長期森林動態調査区の設定により、日本の生物多多様性研究と森林科学研究の国際化に貢献したことがあげられる。非持続的な土地利用(薪炭材採取目的のための伐採や火入れによる農地や放牧地への転換)により、世界的に熱帯乾燥林が急速に消失しつつある中、原生的な植生の記載とその生態系サービスを行うことは、生物多様性保全や持続的土地利用計画政策につながるという社会的意義も持つ。
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