2019 Fiscal Year Research-status Report
Studies on sexual dimorphism of chromosome and nucleolus dynamics in germ cells
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18KK0200
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西村 俊哉 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (10758056)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / ライブイメージング / 核内動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的を達成するためには、メダカ生殖細胞の核内動態を観察できる解像度でライブイメージングを確立することが必須となる。そのためにショウジョウバエ生殖細胞の染色体動態のライブイメージングの実験系をすでに確立しているJean-Rene Hyunh博士(College de France)との共同研究を行っている。昨年度は、Jean-Rene Hyunh博士の研究室に滞在し、ショウジョウバエを用いたライブイメージング法を学び、それをメダカ生殖細胞のライブイメージング確立のために応用した。その結果、マイクロ流路デバイスを用いた器官培養系と高速撮影が可能で光毒性が少ないスピニングディスク型共焦点レーザー顕微鏡システムを組み合わせることで、最大72時間に渡り、核内の動態を追跡できる解像度でライブイメージングできるようになった。また、上記のライブイメージング法でメダカ精巣を観察したところ、以下に述べる興味深い細胞動態を見ることができた。 本研究ではライブイメージングにあたり、生殖腺の体細胞はDsRedで、生殖細胞はEGFPで可視化できるsox9b-DsRed/olvas-EGFPトランスジェニックメダカを用いた。sox9b-DsRedは生殖腺体細胞の中でも生殖幹細胞のニッチとなる細胞で発現していることが知られている。このトランスジェニックメダカ由来の精巣をライブイメージングで観察したところ、動き回っていた生殖幹細胞がsox9b-DsRed発現細胞に捕えられ、それら体細胞と生殖幹細胞が一緒になって、精巣組織内を移動している様子を見られた。ショウジョウバエや線虫では生殖幹細胞ニッチは特定の場所に局在しており、動かないものと考えられていた。本観察は生殖幹細胞ニッチ動態の新たな現象が見えているのかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ流路デバイスを用いた器官培養系とスピニングディスク型共焦点レーザー顕微鏡システムを組み合わせることで、長期に渡り核内の動態を追跡できる解像度でライブイメージングできるようになったことから、本研究の目標の一つである高解像度かつ長期に渡るイメージングはおおむね達成できたと考えている。今後は、核内構造を可視化し、その挙動の性差を見いだすことが課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本手法を用いて生殖細胞の核内動態を調べるために、核内構造を可視化できるトランスジェニックメダカが必要となる。そこでまずは生殖細胞の染色体全体を可視化させるために、ヒストンとEGFPを融合させたトランスジェニックメダカの作出を計画する。以前、申請者が解析したマイクロアレイ、及び、RNAseqによる生殖細胞の遺伝子発現プロファイルを調べると、生殖細胞で高発現しているヒストンvariantが複数見つかったため、それらの発現をin situ hybridizationで確認する。そして、生殖幹細胞から減数分裂前期までの生殖細胞で発現が高いヒストン variantを選定し、それをEGFPと融合させたとトランスジェニックメダカを作製する予定である。 2020年度より申請者は名古屋大学大学院理学研究科から北海道大学大学院水産科学研究院へ異動となった。北海道大学においてメダカの飼育システムの立ち上げが必要なために、すぐに上記の実験を遂行することが困難である。そこで、名古屋大学大学院理学研究科の田中実教授を研究分担者として、トランスジェニックメダカの作製、及び、スピニングディスクを使ったイメージングを協力して遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
北海道大学大学院水産科学研究院への異動決定を受け、引越し準備等で一時的に研究活動が停止したこと、及び、コロナウイルス感染拡大の影響で共同研究先であるパリへの渡航が不可能となったことで、次年度使用額が生じた。次年度使用額分は、新任地で新たに必要なメダカ飼育システムの立ち上げ経費に充てるとともに、立ち上げの間メダカを用いた研究が困難であるため、研究分担者(名古屋大学)に対する協力研究経費に充てる予定である。メダカ飼育システムの立ち上げ後は、トランスジェニックメダカ作製やイメージングに必要な消耗品の購入、共同研究先である名古屋大学及びCollege de France(フランス)への渡航費・滞在費に助成金を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Seasonal changes in NRF2 antioxidant pathway regulates winter depression-like behavior2020
Author(s)
Nakayama T, Okimura K, Shen J, Guh Y-J, Tamai K, Shimada A, Minou S, Okushi Y, Shimmura T, Furukawa Y, Kadofusa N, Sato A, Nishimura T, Tanaka M, Nakayama K, Shiina N, Yamamoto N, Loudon A.S, Nishiwaki-Ohkawa T, Shinomiya A, Nabeshima T, Nakane Y, and Yoshimura T
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Journal Title
PNAS
Volume: -
Pages: 1-10
DOI
Peer Reviewed
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