2020 Fiscal Year Research-status Report
Studies on sexual dimorphism of chromosome and nucleolus dynamics in germ cells
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18KK0200
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西村 俊哉 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (10758056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 実 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (80202175)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / トランスジェニック / ライブイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的を達成するためには、メダカ生殖細胞の核内動態を観察できる解像度でライブイメージングを確立することが必須となる。そのためにショウジョウバエ生殖細胞の染色体動態のライブイメージングの実験系をすでに確立しているJean-ReneHyunh博士(College de France)との共同研究を行っている。現在までに、マイクロ流路デバイスを用いた器官培養系と高速撮影が可能で光毒性が少ないスピニングディスク型共焦点システムを組み合わせることで、最大72時間に渡り、メダカ精巣内の生殖細胞の核内動態を追跡できる解像度でライブイメージングできるようになった。 オスとメスの生殖細胞を比較するために、卵巣においても上記の方法でライブイメージングが可能か検討を行った(分担者)。しかし、卵巣は精巣と異なり、組織の大部分を大きな卵母細胞で占めているため、マイクロ流路デバイスの小さなチャンバーにのせた時に、観察したい細胞が見つからず、マウント方法を改善する必要に迫られてた。 代表者(西村)は、Jean-ReneHyunh博士から分与されたベクター(pDest_AMA)を用いて、生殖細胞の核内構造が可視化できるトランスジェニックメダカの作出を試みた。pDest_AMAにはクリスタリンプロモーターとCFP(Pcrystallin-CFP)が組み込まれているため、眼におけるFP蛍光を指標にトランスジーンの導入が判別できる。しかし、pDestAMAベクターをメダカにインジェクションするとほぼ全ての個体で眼に蛍光が確認され、生殖細胞系列にトランスジーンが導入されたファウンダー個体の選別としては最適ではないと考えられた。また、生殖細胞特異的なvasaプロモーター下でヒストンと蛍光タンパク質の融合タンパク質を発現させると、生殖細胞が存在する生殖腺領域で蛍光が観察できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
核内を可視化できるトランスジェニックメダカの作出が難航している。その理由は、プロモーター選択に問題があると考えられ、生殖細胞の核内においてヒストンと蛍光タンパク質の融合タンパク質を過剰に発現させると、細胞毒性が高く、生殖細胞が死んでいる可能性が高い。今後、細胞毒性を抑えるためには、内在性のヒストンの発現レベルを模倣できるようなプロモーターを選択する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在使用しているマイクロ流路デバイスはカバーガラスとマイクロ流路が型取られたPDMSから構成されている。現行では既に組み立られたマイクロ流路デバイスを用いており、サンプルチャンバーに繋がるチューブにピペットで卵巣小片を注入しているため、マウントの際、サンプルの方向を制御できていない。そこで、卵巣をあらかじめカバーガラスにマウントし観察したい領域の方向性を制御した上で、PDMSと接着させ、ライブイメージングを行う予定である(分担者)。 生殖細胞系列にトランスジーンが導入されたファウンダー個体を確実に得るために、pDestAMAベクターのPcrystallin-CFPをvasaプロモーターとEGFPに置き換えることで、生殖系列にトランスジーンが導入された場合にのみ、蛍光を発するシステムを構築する。そして、生殖細胞で発現しているヒストンvariantを選別し、そのプロモーターを用いて、生殖細胞の染色体を可視化できるトランスジェニックメダカの作出を計画する(代表者)。
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Causes of Carryover |
本年度は、コロナウイルス感染拡大の影響で、共同研究先(パリ)へ赴くことはできなかったため、次年度使用額が生じた。コロナウイルス感染拡大が収まった際には、作製したトランスジェニックメダカのライブイメージングとその解析のために共同研究先へ赴く予定であり、次年度使用額はその旅費に当てる。
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Research Products
(1 results)