2019 Fiscal Year Research-status Report
頭蓋骨解剖学体系の枠組みから外れた未知の新奇形質「耳舌骨」の多角的解明
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18KK0207
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小薮 大輔 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (60712510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛龍 志津子 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (70449510)
小林 耕太 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (40512736)
東山 大毅 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特別研究員 (40816625)
福井 大 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60706670)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 舌骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまでベトナムで収集したコウモリ類の胎子標本を発生ステージ表を参照してステージの同定を行った。また収集した標本はPFA固定、カルノア固定、エタノール固定をそれぞれ行った。それらをマイクロCTによる三次元的非破壊撮影を行ったのち、パラフィン包埋標本・凍結標本を順次作成し、アセチレッテドチューブリンを用いた神経系の免疫組織化学染色、ヘマトキシリン・エオシンを用いた筋系・硬骨・軟骨の組織染色を行った。また、Ptch1, Ihh, Runx2, Sox9, Aggrecan 各遺伝子のRNAプローブの作成を進め、その合成に成功した。予察的にこれらのRNAプローブによるin situ ハイブリダイゼーション実験を開始したが、高品質の染色結果を得ることに成功した。新年度以降は本格的にこれらを用いてコウモリ類における舌骨発生に関連する遺伝子の発現パターンの把握を目指す。また、野外においてコウモリ類の超音波発生および聴取の行動を三次元動画記録、音声ソノグラム記録を行い、コウモリ類のエコーロケーション行動の把握につとめた。さらに、野外で捕獲したコウモリ類の成体に対し、脳幹上丘に刺激用双極電極を挿入して刺激に対する超音波発声および耳舌骨を含む外耳の動きを計測した。刺激部位に逆行性神経トレーサ・フロオロゴールドを注入し、刺激量および刺激部位を変量として、外耳の動き、発声タイミング、発声の音響特性が脳幹上丘内でどのように表象されているかの把握を進めた。また本年度はタイ・プーケットで行われたコウモリ類国際研究会議に参加し、本課題に大きく関連した研究発表を行うとともに、各国研究者と討議を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動面でデータ取得は当初計画の通り進行している。ただし、コロナウイルスによるパンデミックの影響で、コウモリ類の繁殖時期でのベトナムへの渡航および捕獲は断念せざるをえなかった。新規標本の入手は叶わなかったが、これまでに既に収集が完了している標本を中心にして分析を行ったため、発生学的な研究に支障は起きていない。
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Strategy for Future Research Activity |
旧年度はこれまでに既に集めていた胎子標本を中心に作業を進めることができたが、より詳細な検証を進めるには新規で胎子標本の収集が必要となってくる。現在コロナウイルスによる世界的なパンデミックのなか、ベトナムへの渡航の可能性が現状不透明である。本研究はベトナムでの標本収集が鍵となっているため、コロナウイルスを巡る各国の動きを中止しながら次の繁殖時期である2021年3月での調査を想定してそれまでに準備を進めたい。
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Causes of Carryover |
本研究に掛かる調査は2月末~3月の繁殖期での実施が必要だが、予定していたベトナムでの現地調査がコロナウイルスの影響で実施が困難になった。次年度使用額は主に次年度でのベトナムでの旅費に当てる予定である。コロナによって渡航が難しい場合は実験経費に当てる。
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Research Products
(14 results)