2020 Fiscal Year Research-status Report
Lessons from Chernobyl to Fukushima: Natural history of thyroid ultrasound findings
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18KK0265
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高村 昇 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (30295068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平良 文亨 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10542524)
折田 真紀子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (90737305)
高橋 純平 長崎大学, グローバル連携機構, 助教 (50574026)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | チェルノブイリ / 福島 / 甲状腺 / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で明らかにすることは、1)チェルノブイリ周辺地域における甲状腺超音波所見の自然史と、2)甲状腺がんの自然史およびその長期的予後、である。 研究代表者が20年以上にわたって共同研究を行ってきたジトーミル州立診断センターでは、2006年からは現在福島県民健康調査で使用されている超音波装置と同じ機器を使用して甲状腺超音波検査を実施し、全ての受診者の画像を経年的に保存している。 本研究では、事故(1986年)前に生まれ、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくをうけた群(被ばく群)と事故後に生まれ、甲状腺の内部被ばくを受けていない群(非被ばく群)の両群における初診時の画像を、福島県民健康調査の甲状腺検査の診断基準に合わせて分類(A1、A2、B)し、それぞれの群の画像を前向きに解析していくことで、甲状腺超音波所見の自然史を明らかにしていくと同時に、被ばく群と非被ばく群における所見の違いの有無についても解析を行った。その結果、被ばく群と非被ばく群において、甲状腺超音波所見に差異があったが、年齢で調整することによって有意差は消失することを明らかにした。 すでに結果を取りまとめて論文を執筆し、国際専門雑誌に投稿している。今後は、甲状腺がんと診断された症例については、診断される以前の画像を後ろ向きに解析することで、甲状腺がん超音波所見の自然史を明らかにしていく。放射線被ばく群と非被ばく群における所見の違いの有無についても明らかにすると同時に、甲状腺がん症例の手術後の経過について前向きに解析することで、甲状腺がんの長期的予後についても明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた画像の解析も終了し、すでに論文を執筆して国際学術誌に投稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、甲状腺がんと診断された症例については、診断される以前の画像を後ろ向きに解析することで、甲状腺がん超音波所見の自然史を明らかにしていく。放射線被ばく群と非被ばく群における所見の違いの有無についても明らかにすると同時に、甲状腺がん症例の手術後の経過について前向きに解析することで、甲状腺がんの長期的予後についても明らかにする。 以上の研究を遂行し、福島での甲状腺超音波検査で診断されている甲状腺がんの自然史の予測に有益なエビデンスを提供すると同時に、住民へ正しい情報を発信することで安全・安心の担保に貢献することとする。 研究代表者は、引き続き研究デザインを策定した上で、ジトーミル州立診断センターと協議して画像および臨床データ、推定甲状腺被ばく線量の収集を行う。研究分担者の平良文亨は、得られた超音波診断結果の再確認(ダブルチェック)を行い、同時にデータセットの準備から解析を行う。研究分担者の折田真紀子は、甲状腺がん症例の診断される以前の画像を後ろ向きに解析すると同時に、手術後の経過について前向きに解析する。平良、折田はそれぞれの解析結果について研究代表者と相談しながら論文を執筆する。また研究分担者の高橋純平は、長崎大学ベラルーシ拠点の代表代行であり、ロシア語も堪能であることから、長崎大学とジトーミル州立診断センターとの連絡交渉にあたるほか、住民への説明書作成等を行う。大学院生(3名を予定)は、ジトーミル州立診断センターから得られた画像を解析する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行拡大の影響で、外国出張ができなかった。そのためオンラインを活用して研究についての協議等は行ってきたが、新型コロナウイルスの流行が沈静化した段階で速やかにウクライナに出張して、今後の研究の進め方について直接協議を行う。
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Research Products
(9 results)