2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of multifunctional electron/nuclear magnetic resonance imaging
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18KK0304
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平田 拓 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (60250958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 和洋 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (10271115)
榎本 彩乃 長崎国際大学, 薬学部, 助教 (30826186)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 電子スピン共鳴 / オーバーハウザーMRI / 酸素 / pH / レドックス / 共振器 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子スピンと核スピンを用いたマルチファンクション・イメージングを行うために、電子スピン共鳴(ESR)イメージングとオーバーハウザーMRI(OMRI)の技術開発を進めた。 電子スピン共鳴によるpHイメージングと酸素イメージングを高感度化するために、マルチハーモニック受信システムの開発を行った。連続波法において磁場変調周波数の高次信号を同時に受信することにより、ESRスペクトルの信号対雑音比を改善することを目指した。これまでに、750MHzの高周波検波後に受信信号をデジタイズし、磁場変調の高次信号成分を得ることに成功した。また、高次信号の成分からESRスペクトルを再構成する計算コードの開発を進めている。加えて、ウエストバージニア大学V. V. Khramtsov教授のグループで開発したマルチ感受性スピンプローブの提供を受け、ESRによる酸素/pH/リン酸同時イメージング技術の検証を行った。予定では2020年3月にウエストバージニア大学を訪問し、研究の進捗について議論する計画であったが、新型コロナウイルスの影響により渡航を見合わせたため、ESRイメージングに関連したウエストバージニア大学の滞在は実現しなかった。 OMRIに関連して、ウエストバージニア大学グループが行うpH計測の最適化、および長崎国際大学チームが行うレドックス、酸素分圧計測の最適化を実現するために、OMRIコンソールから得るトリガーに応じてピンダイオード動作により共振器周波数を変更する機能を有する共振周波数スイッチ装置、およびOMRI共振器を試作した。現時点ではOMRIコンソールのトリガー出力機能を実装中のため、本年度は実機装置をウエストバージニア大学に持参し共同実験を行うことで、手動切替に基づいて実機検証をすすめるとともに、改良点について議論を行った。また、両グループの研究進捗状況に関するセミナーを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際共同研究強化の課題として、ウエストバージニア大学のV. V. Khramtsov教授と連携して複数の機能的情報を可視化するイメージング法の研究を進めている。2年目となる2019年度には、長崎国際大学のチームがウエストバージニア大学を訪問し、研究の進捗について議論を行った。合わせてセミナーを開催し、今後の計画についても意見交換した。北海道大学からも訪問予定であったが、新型コロナウイルスの影響で2020年3月に予定していた訪問計画を延期した。このような現状から、国際共同研究強化(B)の課題として、概ね順調に進展していると判断した。 個別の研究目標については、ESRイメージングについては北海道大学で、OMRIについては長崎国際大学で開発を進めており、ウエストバージニア大学と連携して開発と検証を進めている。ウエストバージニア大学のグループが開発したマルチ感受性プローブを用いて、ESRによる酸素/pH/リン酸同時イメージング法の実現可能性を示す研究成果を発表することができた点も、「概ね順調」と判断した根拠である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、連続波ESR分光マルチハーモニック受信システムの開発を進める。サンプリング周波数を引き上げ、より高次の信号を安定的に取り込めるようシステムを改良する。また、ESRスペクトルの再構成を行えるようにし、信号対雑音比の改善を定量的に明らかにする。その後、pHイメージング、酸素イメージングにおける受信システム改良の効果を検証する。また、腫瘍モデルによる検証実験を進め、マルチファンクション・イメージングの基礎的データを取得する。ウエストバージニア大学グループが開発したpH感受性プローブを用いて腫瘍モデルのpHイメージングを試みる。また、腫瘍モデルのグルコース取り込みについても基礎的な実験を進め、pHとグルコース取り込みの関係を研究できるようにする。 OMRIについては、前年度に引き続き計測装置の最適化をすすめる。試作したスイッチ装置の自動制御機能を実装するとともに、OMRIコンソール装置にトリガー出力機能を改良追加することで、pHあるいは複数の生体情報の取得の自動化・最適化を実現する。ウエストバージニア大学グループに同機器を提供し、疾患モデル等に応用することで研究上の有用性を実証する。
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Causes of Carryover |
2020年3月にウエストバージニア大学を訪問し、マルチファンクション・イメージングの共同研究と進捗状況の検討を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染の危険性が上昇したため、予定していた時期のアメリカへの渡航を中止した。そのため、旅費として執行する予定が未執行となり次年度使用額の主要な部分が生じた。今後の使用計画として、2020年度の予算と合わせてマルチハーモニック受信システムの改良のために高速デジタイザの購入に充当することを計画している。2020年度は別途旅費を計上していることと、現時点ではアメリカへの渡航の計画が立てられないことから、2019年度に計画していたウエストバージニア大学への訪問を次年度に実施することは現実的ではないと判断した。
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Research Products
(6 results)